Autodeskが、建築・製造・映像制作という3つの業界向けクラウド「Forma」「Fusion」「Flow」に、そろって新しい「エージェント型AI」を追加すると発表しました。法人契約が無くても、現行のAssistant機能は既にFusion・Forma・Flowを含む多くのAutodesk製品で提供されており、無料のFusion Personal Useでも触れられている可能性があります(今回発表された次世代版がこの無料プランの対象になるかは未確認です)。指示を待たずに自律的に作業を進める次世代版は、現時点はプレビュー公開のみで、一般提供はまだ先になります。
実際の操作・登録は行っておらず、2026年9月24日時点のAutodesk公式発表とAutodesk公式サイトの記載に基づいて構成しています。
つまり何が起きたか
Autodeskは2026年9月にラスベガスで開催した「Autodesk University 2026」で、Forma・Fusion・Flowの3クラウドに新しいエージェント型AIをプレビュー公開しました。

「エージェント型AI」とは、人が都度細かく指示しなくても、目的を伝えるだけで複数の作業ステップを自分で進めるAIの働き方を指します。チャットで質問に答えるだけの従来型アシスタントとの違いはここにあります。
3クラウドの対象領域は次のとおりです。
| クラウド | 対象領域 | 主なユーザー |
|---|---|---|
| Forma | 建築・エンジニアリング・建設(AEC) | 建築設計者 |
| Fusion | 製品設計・製造 | 製造・機械設計の担当者 |
| Flow | メディア&エンターテインメント(映像・VFX制作など) | 映像・VFX制作の担当者 |
Flowは映像・VFX制作向けのクラウドで、プロジェクト管理ツールではありません。3製品はいずれも法人向けの業界別クラウドで、個人が気軽に契約できる価格帯の製品ではない点も押さえておきたいところです。
自分に関係あるか30秒チェック
今回の発表が直接関係するかどうかは、次の表で確認できます。ただし最初に、見落としやすい事実を1つ押さえておきたいところです。法人契約が無くても、現行版のAutodesk Assistant機能自体は、既にFusion・Forma・Flowを含む多くのAutodesk製品に組み込まれています。無料のFusion Personal Useを使っていれば、今回発表された「次世代」版ではなく、現行のAssistant機能には今日すでに触れられている可能性があります。

| あなたの状況 | 結論 |
|---|---|
| 会社でForma / Fusion / Flowを契約している | 自分のプラン・リージョンで今回の次世代Assistant(プレビュー)が対象になっているかを、公式ページで確認する価値があります |
| Fusionを個人の無料プランで使っている | 次世代Assistant機能が無料プランに含まれるかは2026年9月24日時点で公式に明記がありませんが、現行のAutodesk Assistant自体は既に多くのAutodesk製品に組み込まれています。無料プランで現行Assistantに触れられるかどうかの確認手順は、この後の「今日できる最初の一歩」で示します |
| Autodesk製品を業務で使っていない | 直接の影響はありませんが、「業務向けAIエージェント」の広がりを示す一例として読めます |
会社の法人契約が無い人でも、無料のFusion Personal Useを使っていれば現行のAssistant機能に触れられている可能性があります。次世代版がこの無料プランの対象になるかはまだ未定ですが、まずは公式のFusion製品ページで、無料プランでの現行Assistantの提供状況を確認しておきましょう。
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Autodesk Fusion を無料で始める(公式)これまで(現行Assistant)→ これから(次世代Assistant)
Autodeskは既に「Autodesk Assistant」という名称のAIアシスタントを、Fusion・Forma・Flowを含む多くのAutodesk製品で提供しています。今回の発表は、この現行Assistantを土台にした拡張版という位置づけです。

| これまで(現行Assistant) | これから(次世代Assistant) | |
|---|---|---|
| 提供状況 | 既にFusion / Forma / Flowなど多くの製品で提供中 | プレビュー公開のみ。一般提供の開始時期・展開スケジュール・サブスクリプション条件・提供地域は2027年に発表予定 |
| できること | 製品ごとの操作支援・チャット形式のヘルプが中心 | 後述する3つの共通機能により、複数プロジェクトを横断した課題の提示や、チーム・AIエージェント間の協働まで対象を広げる |
公式発表が示す変化の具体例は、製品ごとではなく1つの概念的な事例のみです。建物の構造変更が起きた際、次世代Assistantが「製作・スケジュール・コスト・施工手順・運用」への影響をプロジェクト全体の文脈から特定し、対応に必要な機能を提示する、という説明になっています。Forma・Fusion・Flowそれぞれに固有の変化を示す事例は、今回の発表には含まれていません。
追加された3つの機能
今回追加されたのは、3クラウド共通の3つの要素です。製品ごとに別々の機能名があるわけではありません。

- Personal Pulse: 複数のプロジェクトを横断して、優先的に対応すべき課題やインサイトを提示する機能
- Assistant Spaces: チームとAIエージェントが同じ場所で課題に集中し、協働するための環境
- Assistant Builder: 自社で使っているAIエージェントやツール、パートナー企業のサービスを、Autodeskのプロジェクトの文脈に接続する仕組み
これらの基盤になっているのが「Autodesk AI Orchestrator」です。タスクの内容に応じて、精度・速度・セキュリティ・コストの観点から使用するAIモデルを評価・選択する役割を持ちます。
データの扱いについても言及があり、Autodesk Assistantは「データの完全性、プライバシー、リスクの観点から評価」されているとのことです。使用データや安全対策、既知の制限事項をまとめた「AI Transparency Card」を公開しており、法人での導入検討時に確認できる材料になっています。
公式が引用した調査(Autodeskの「2027年度版デザイン創造の業界動向調査」)では、対象者の70%が「AIによって単調で反復的な作業が減り、判断力・創造性・専門知識に集中できるようになる」と回答しています。北欧のコンサルティング企業Norconsult社のDX担当者も、プロジェクトの文脈をワークフローに取り込むことでチームの行動を後押しできる、とコメントを寄せています。
今日できる最初の一歩
現時点でできることは限られています。プレビュー段階で、料金・提供地域・対象プランがまだ決まっていないためです。それでも確認しておく価値がある手順は、次の3つです。

- 自社の契約状況を確認する: Forma / Fusion / Flowを会社で契約しているかどうかをまず確認します
- 契約している場合はプレビュー対象かを公式ページで確認する: 自分のプラン・リージョンで今回の次世代Assistant(プレビュー)が対象になっているかを公式ページで確認します
- 契約が無い場合はFusionの無料プランでAssistant機能に触れられるか確認する: Fusionには個人利用向けの無料プラン「Fusion for Personal Use」があります。非商用の個人設計プロジェクト、または自宅での非商用の製造・加工が対象で、年間収益1,000米ドル未満・3年間無料という条件がついています。今回発表された次世代のエージェント機能がこの無料プランに含まれるかは2026年9月24日時点で公式ヘルプページに記載がありませんが、現行のAutodesk Assistant自体は既に多くのAutodesk製品に組み込まれているため、無料プランでも現行のAssistant機能には触れられる可能性があります。公式のFusion製品ページで最新の提供状況を確認するのが最初の一歩になります
いずれもカード登録や新規の課金を伴う操作ではなく、公式ページを確認する範囲で完結します。
似たように「発表はあったが一般提供はまだ先」というケースとしては、Astra for Lawの一般開放が見送られている件もあります。エージェント型AIの発表は増えていますが、実際に手元で使えるまでには時間差があるのが今の実情です。
会社の法人契約が無い人にとっては、3番目の手順が最も現実的な一歩です。今日やるなら、公式のFusion製品ページで、無料のPersonal Useプランで現行のAssistant機能が使えるかどうかを確認するところまでです。
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周辺製品のAI機能はどうなっている?
今回の3クラウド発表とは別に、Autodeskの個別製品でもAIエージェント化が進んでいます。
- AutoCAD: AutoCAD 2027のAssistant機能はエージェント型に進化していますが、2026年9月24日時点で公式Developer Blogには「テクニカルプレビュー」の位置づけと明記されています
- Revit: Revit 2027の公式ヘルプページには、「Autodesk Assistant in Revit」が段階的に強化されていく計画が記載されています(バージョン2027.2でのビュー変更機能追加、2027.3でのDynamo向けAssistant追加など)。アップデート件数の総数は公式ページに明記がありません
- Forma: 今回のエージェント発表とは別に、既存のAI機能として「Building Layout Explorer」があります。建物の形状・タイプ・主要な構造材から、集合住宅の配置案を生成AIで作成する機能です。今回発表された次世代Assistantとの統合関係は、公式記事に明記されていません
いずれも「今回の3クラウド発表」そのものではなく、各製品側で個別に進んでいるAIエージェント化の動きとして、参考情報にとどめておきたいところです。
料金はいくらになるのか
今回発表された次世代Assistantの料金・サブスクリプション条件は、2026年9月24日時点で未定です。公式発表では「次世代機能の提供開始時期、展開スケジュール、サブスクリプション条件、提供地域などの詳細については、2027年に発表する予定」とされています。
参考として、Flowクラウド内の個別アプリ「Flow Studio」(VFX向けAIモーションキャプチャ等・旧称Wonder Studio)は、無料プランからPro(月95米ドル)まで段階的な料金プランを2025年8月から提供しています。ただしこれは今回(2026年9月)の3クラウド向けエージェント発表とは無関係の、別の発表による料金です。今回追加された機能の料金として扱うことはできません。

