「Claude Opus 5.5」という名前を、都城市の自治体AI「zevo」の導入発表で初めて見た方もいるかもしれません。ですがこの名前は、自治体側の発表で生まれたものではありません。2026年9月22日、Anthropicが自社サイトで正式に発表した実在モデルです。zevoでの採用は、そこから1週間後にあった導入例のひとつです。

つまり何が起きたか。AnthropicのOpusシリーズ最上位モデルが「Claude Opus 5」から「Claude Opus 5.5」に更新されました。コーディングやエージェント型の作業(AIが複数の工程を自分で判断しながら進める作業)で公式ベンチマーク(性能を比較するための統一テスト)が上位、料金はOpus 5より安くなり、Claude Codeは一定バージョン以降であればすでに自動的に新モデルへ切り替わっている、という状況です。

迷ったらこれ: Claude CodeやClaude.aiを使っている個人開発者・チームは、特別な操作をしなくてもそのまま使い続けて構いません。料金はOpus 5より2割安く(Anthropicは実運用ベースで「約4割安い」とも説明)、コーディング系の主要ベンチマークでは公開時点でトップスコアです。最初の5分でやること: Claude Codeのバージョンを確認し、古ければclaude updateで更新することだけです。weevee自身の環境(CLIバージョン2.1.258)で試したところ、旧バージョンのままOpus 5.5を指定すると実際に400エラーが返り、更新が必要なことを確認しました。

本記事で「実測」と書くのは、weeveeが2026年9月30日に自分の環境で動作を確認した範囲だけです。それ以外の価格・性能・仕様は、同日時点のAnthropic公式ページの記載に基づきます。

結論:自治体AI「zevo」にも採用された新モデル、Claude Opus 5.5とは

Anthropicは公式のモデル比較表で、Opus 5.5を「長時間のエージェント型コーディングとナレッジワーク向け」と位置づけ、「どのモデルを使うか迷ったらOpus 5.5から」と案内しています。Opus 5の後継モデルで、モデルID(プログラムから呼び出す際の名前)はclaude-opus-5-5。知識のカットオフは2026年6月です。料金はOpus 5より安く抑えながら、複数のベンチマークでは同じAnthropicの上位モデルFable 5.1を上回るスコアも出ています(詳細は次の見出しの表で確認できます)。

Claude Opus 5.5の位置づけとモデルID、カットオフ、zevo提供日をまとめた図
Opus 5.5は長時間のコーディングや知識労働向けの新モデルで、自治体AIのzevoにも提供が始まった

「zevo(ゼヴォ)」は、都城市とシフトプラス社が共同開発した自治体向けの生成AI活用システムです。LGWAN(地方公共団体が使う、外部と分離された専用ネットワーク)の中で、職員が複数のAIサービスを使えるようにする仕組みです。シフトプラス社は2026年9月29日、zevoを利用する全ての自治体にClaude Opus 5.5の提供を始めたと発表しました。つまりzevoの発表は、Anthropicが1週間前に出した新モデルを、自治体の実務に取り入れた一例です。

何が変わったか:価格とベンチマークを表で整理

まず料金です(100万トークンあたりの米ドル、Anthropic公式ページより)。表の「既定effort」は、AIがどれだけじっくり考えるかという設定です(詳しくは後述します)。

Opus 5.5とOpus 5の入力・出力・キャッシュ読取の料金比較
入力・出力の単価はOpus 5より20%、キャッシュ読取は60%安い
モデル入力出力キャッシュ読取既定effort
Claude Opus 5.5$4$20$0.20medium
Claude Opus 5$5$25$0.50high
Claude Fable 5.1$10$50$0.25high
Claude Sonnet 5.5$2$10$0.20high

入力・出力の単価はOpus 5比で20%減、キャッシュ読取は60%減です。Anthropicはさらに「既定設定・典型的なワークロードでOpus 5より約40%安い」とも説明しています。この40%は単価の値下げだけでなく、1つの作業を終えるまでに使うトークン量そのものが減った分も含んだ数字です。詳しい料金比較については、Fable 5.1との違いと料金の記事もご覧ください。

研究プレビュー段階の「Fast Mode」も用意されました。最大2.5倍速く応答しますが、料金は標準の2倍(入力$8・出力$40)。Claude CodeとAnthropic自身が提供するAPIでのみ使え、Amazon Bedrock・Google Cloud・Microsoft Foundry経由では今のところ使えません。

ベンチマーク(公式発表ページより、%またはElo)はこちらです。

ベンチマークOpus 5.5Fable 5.1Opus 5GPT-6 Astra
Terminal-Bench 4.0(エージェント型コーディング)66.455.852.357.9
FrontierCode v1.154.450.348.053.3
GDPval-AA v2.1(Elo・知識労働の評価点)1846173517081542

公式発表ページには利用企業からの実測報告も載っています。Deloitteはコードレビューで既知バグの72%を検出(Opus 5のhigh設定では56%)。Rogo社は出力トークンを約60%減らしながらOpus 5(high)を上回るスコアを記録。Viktor社は少ないやり取りで作業を完了し、費用はほぼ半分になったと報告しています。テスターの一人は68万行規模のコード移行を1日未満で終えたそうです。

GPT-6 Astra・Fable 5.1とどちらを選ぶか

「どのタスクでも一番」というわけではありません。業務自動化のAutomationBenchでは GPT-6 Astraが41.4、Opus 5.5は40.0。科学タスクのTerminal-Bench-ScienceではGPT-6 Astraが64.6、Opus 5.5は58.7と、この2つの領域ではGPT-6 AstraがOpus 5.5を上回っています。コーディングや長時間のエージェント作業が中心ならOpus 5.5、業務自動化や科学分野の複雑なタスクが中心ならGPT-6 Astraも検討候補になる、という違いです。

Opus 5.5とGPT-6 Astraのベンチマークスコア比較表
コーディングはOpus 5.5、業務自動化と科学タスクはGPT-6 Astraが上回る

なお、Anthropic自身が「この水準まで来ると、ベンチマークの差は実運用の違いを測る目安として当てにならなくなってきた。自社での利用実感では、Opus 5.5とFable 5.1の差はこの数字が示すより小さい」と注記しています。表の数字の大小だけで優劣を決めつけないほうがよさそうです。

今日から使う手順:Claude.aiでの確認とClaude Codeの自動切替

Claude Codeを使っている場合、GitHub公式のCHANGELOGによれば、バージョン2.1.280以降で既定のOpusモデルが自動的にOpus 5.5へ切り替わっています。何も設定しなくても、更新するだけで新モデルになります。

旧バージョンのClaude CodeでOpus 5.5を指定した際の400エラーの画面
CLIバージョンが古いと、Opus 5.5を指定しても2.1.280以上が必要という400エラーになる

weevee自身の環境(CLIバージョン2.1.258・Windows 11・既存のMax契約)で確認したところ、旧バージョンのまま--model claude-opus-5-5を指定すると、「バージョン2.1.280以上が必要」という400エラーが実際に返ってきました。公式の記載どおり、バージョンが古いとOpus 5.5は使えないことをこの目で確認しています。更新はclaude updateコマンドで行えます。Claude Code Pro/Max料金を実測で判断した記事や、従量課金の予算アラートを組む方法も参考にしてください。

claude.aiのブラウザ版でのモデル選択画面については、無料プランでOpus 5.5が選べるかどうか、Anthropic公式ページに明記された記載は見当たりませんでした。申し込み前に公式のプラン比較ページで確認することをおすすめします。

ふだんClaudeを使っていない方は、この機会にClaude.aiの無料プランに登録し、Opus 5.5が選べるかどうかも含めて実際の画面で確認してみてください。無料の範囲で使い勝手を確かめたうえで、有料プランを検討するかどうかを決める、という順番がおすすめです。

あわせて、Claude Sonnet 5.5もOpus 5.5の6日後(2026年9月28日)に公開済みで、価格はSonnet 5と同じ(入力$2・出力$10)です。Haiku 5.5は2026年9月30日時点では、公式のモデル一覧にまだ掲載されていません。

見落とすと損する注意点:思考の深さと月額プランの扱い

Claude CodeやAPIで指定する「effort(思考の深さ)」は、通常のOpusモデルはhighが既定ですが、Opus 5.5だけmediumが既定になっています。モデル名が自動で切り替わったことに気づかず使い続けると、これまでより思考の深さが一段浅い設定で動いていることになります。じっくり考えさせたい作業では、effortを自分でhigh以上に指定してください。なお、思考そのものを無効化する指定は、Opus 5.5ではどのeffortレベルでもエラーになります。

Opus 5.5の既定effortがmediumで他モデルはhighであることの比較
Opus 5.5だけ既定が一段浅いmediumなので、深く考えさせたい作業では自分で指定する

先ほどの表で紹介したベンチマークスコアにも、同じ注意が当てはまります。Anthropicの公式発表ページの注記によれば、特に断りが無い限りOpus 5.5のスコアは最も深いeffortであるmaxで測定された値です。Terminal-Bench 4.0だけは例外で、Opus 5.5はxhigh、比較対象のGPT-6 Astraは公表されているhighの値が使われています。つまりどちらも、Claude Codeの既定であるmediumのまま使ったときの値ではありません。表で見た数字と同じ体感を実務で得たい場合は、effortをhighやxhighまで自分で引き上げる必要があります。

Claude Codeの個人設定でeffortの既定値を書き換えている場合も注意してください。今回確認した公式ドキュメントの範囲では、その設定がOpus 5.5にもそのまま反映されるかどうかを明記した記載は見当たりませんでした。「前に高い設定にしたはずだから大丈夫」と思い込まず、迷ったら作業ごとにeffortを明示的に指定し、実際の挙動を確かめるのが確実です。

サブスクリプション(Pro/Max/Team)では、5時間あたりの利用上限が引き上げられ、好きなタイミングで使える「上限リセット」も1回分付与されました。ただし月額プランの料金自体は変わっていません。今回発表されたのはAPI料金(トークン単位の従量課金)の値下げであり、月額プランの値下げではない点に注意してください。

開発者・API利用者向けの移行チェックリスト

ここからはAPIを直接呼び出している開発者向けです。個人開発者やAPIを使わない方は読み飛ばして問題ありません。Anthropic公式の移行ガイドによれば、Opus 5からの破壊的変更は次の4点です。

Opus 5.5移行時に確認する4つの破壊的変更のチェックリスト
APIを直接呼ぶ場合は、この4点を確認してから移行する
  • 思考を無効化する指定(thinking:{"type":"disabled"}など)は400エラーになる
  • tool_choiceでツール使用を強制する指定(any/tool)は400エラーになる。auto+厳格なツール使用への置き換えが必要
  • 2026年8月31日以降に作成したAPIアカウントでは、会話の途中でシステムプロンプトやツール定義、過去の発言を編集してから思考ブロックを送り直すと400エラーになる
  • Claude APIとGoogle Cloudでは旧computer_20251124ツールが使えなくなり、computer_toolset_20260801への移行が必要(Amazon Bedrockは従来どおり動作)

安全性も強化されました。Anthropicの自動監査では、境界を回避しようとする挙動がOpus 5・Mythos 5.1と比べて約85%減少。サイバーセキュリティ関連の多くのタスクはOpus 4.8へ自動的に振り分けられるようになり、生物学分野でもFable 5.1と同等の安全対策が新設されています。

【実例】自治体AI「zevo」導入発表を読み解く

シフトプラス社が2026年9月29日19時30分に発表した内容によると、zevoは都城市と共同開発した自治体向け生成AI活用システムで、LGWAN環境の中でChatGPT・Claude・Geminiなど複数の生成AIサービスを利用できます。ビジネスチャット「LGTalk」やLGWAN専用の音声認識「eRex」との連携もできる仕組みです。

Opus 5.5がzevoを通じて全利用自治体に提供されるまでの流れ
Anthropicの新モデルが、シフトプラス社の発表を経てzevoの全利用自治体に届いた

今回、zevoを利用する全ての自治体に対してClaude Opus 5.5の提供が始まりました。発表文は「Claude Opus 5.5は、Anthropicが提供する最新のOpusシリーズモデルです」「複雑なコード生成や修正作業にも粘り強く対応できます」「利用コストが4割程度低く抑えられています」と説明しています。この「4割」という数字は、Anthropicが公式に説明している「既定設定・典型的なワークロードで約40%安い」という内容とほぼ一致しており、企業や個人開発者向けの改善が、自治体向けサービスにもそのまま反映されていることが分かります。

結局どのプラン・モデルを選ぶべきか

Claude CodeやClaude.aiを普段使っている個人開発者は、特別な対応をしなくても新しいモデルの恩恵を受けられます。バージョンが古い場合はclaude updateで更新するだけです。weevee自身の環境(CLIバージョン2.1.258)でも、旧バージョンのままではOpus 5.5を選べないことを実際に確認しており、公式の案内どおりバージョン更新が必要だという点には裏付けが取れています(更新コマンドの実行そのものは本記事の検証範囲外です)。料金プランの実際の使い勝手が気になる方は、Claude Code Pro/Max料金を実測で判断した記事や、従量課金の予算アラートを組む方法もあわせて参考にしてください。

Claude Codeを更新してOpus 5.5を使うまでの3ステップ
確認、更新、effort指定の3つだけで、新しい価格と性能を使える

今日やることは1つです。すでにClaude Codeを使っている場合は、まずバージョンを確認してclaude updateで更新してください。入力・出力の単価がOpus 5より2割安く、標準的な使い方では実行コストが平均4割抑えられるという今回の価格改定は、このアップデートだけで反映されます。実際の料金が自分の使い方でどう変わるかは、下の公式ページで確認しておくと安心です(初めてClaudeを使う方も、同じページから料金プランの内容を確認できます)。

Opus 5.5はOpus5より単価が2割安く、標準的な使い方では実行コストが平均4割抑えられる価格設定です

Claude の料金プランを確認する(公式)