株式会社ライトアップ(東証グロース・証券コード6580)が、企業ごとに専用のAI営業基盤(次世代型SFA/CRM=営業支援・顧客管理システム)を個別開発し、その上で「AI営業マン」を稼働させるサービス「Elliot Sales Engine」を2026年10月1日から提供開始すると発表しました(発表は2026年9月29日)。つまり、これまで営業担当者が手入力し、人が画面を見て判断していたSFA/CRMの仕組みを、AIが情報を集めて整理し、人は判断だけに集中する仕組みに置き換える、という話です。

営業組織を持つ企業の経営層・営業責任者に関係する発表で、今日できる最初の一歩は公式サイトで対象条件と申込方法(資料請求・無料相談)を確認することです。本記事はプレスリリースおよびElliot Sales Engine公式サイトの記載(2026年9月29日時点)をもとに整理しています。

「AI営業マン10名」とは何か

「AI営業マン10名」という表現は、実際に10種類の役割が最初から決まっているという意味ではありません。プレスリリースの注記によれば、これは「異なる役割を持つAI営業マンの構築目標」であり、実際にどの役割から導入するかは各社の業務を診断したうえで個別に設計されます。

AI営業マン10名の内訳、確定5役割と候補5項目を示す図
確定した役割は5つ、候補はさらに5つ。合わせて『10名』という目標に

公式発表が挙げる役割の例は次の5つです。

  • 月末に帳尻を合わせる営業マン: 目標未達の可能性を月の早い段階で検知し、過去の商談ログから「いま売れる顧客」を抽出してアポイントを取りにいく
  • クロスセルを逃さない営業マン: 全部署の商談議事録から、他部署に埋もれた販売機会を毎週見つける
  • 断られてからが本番の営業マン: 失注顧客と理由を記憶し、機能追加や決算期などの変化を捉えて再提案する
  • 負けた理由を持ち帰る営業マン: 失注の傾向を分類し、顧客の声を新機能の企画につなげる
  • ヨミを外さないAI営業マネージャー: 全商談の活動履歴から着地を見立て、経営会議向けのレポートをまとめる

このほか、停滞案件の前進・競合コンペ対策・担当交代時の引き継ぎ・予算時期に合わせた提案・紹介の依頼なども役割の候補として挙げられており、顧客への送信は事前に人が承認する運用を選べるとされています。公式発表に書かれていない役割分担の詳細(顧客ごとの優先順位付けの基準など)は、現時点では明らかになっていません。

新型AIモデル「Jev」は何をしているのか

AI営業マンの仕事の多くは、「どの顧客を優先するか」「この案件はどの担当に振り分けるか」「失注理由はどれに当たるか」といった判断の連続です。Elliot Sales Engineは、この判断処理に米TypeSafe AI社の「Jev」というAIモデルを採用しています。

生成AIとJevの出力の違いを比較する図
Jevは文章を書かず、確率つきの数値だけを返す

海外メディアの報道によると、Jevの特徴は文章を生成しない点です。生成AI(ChatGPTのようなモデル)が長い回答を作るのに対し、Jevへの入力は「顧客からの問い合わせ内容」のような状態を表す文章と、あらかじめ型を決めた「選択肢から選ぶ」「点数をつける」といった質問の組み合わせです。出力も文章ではなく、確率つきの構造化されたデータ(例えば「請求の問い合わせである確率8%、技術的な問い合わせである確率85%」といった数値の組)だけを返します。この結果は人が読むためのものではなく、他のソフトウェアがそのまま処理に使う設計です。文章を作る仕事は生成AIに任せ、判断はJevに任せるという役割分担によって、判断のスピードと安定性を両立させる狙いがあります。

Jevを開発したTypeSafe AI社はサンフランシスコが拠点です。同じ報道によれば、創業者の一人はOpenAIで人間の評価をもとにAIの応答を調整する手法(RLHF)や、ChatGPT・GPT-4の開発に携わった人物で、同社はこれまでに4,000万ドル(約60億円相当)の資金調達を実施しているとされています。なお、Jev自体の利用料金はTypeSafe AI公式サイトによると入力100万トークンあたり0.042ドル・出力は無料(現時点は本格提供前の先行提供=early access段階)で、これはElliot Sales Engine自体の料金とは別の数字です。ライトアップは2026年9月21日からJevの導入支援サービスをすでに開始しており、Elliot Sales Engineはその流れの中での発表になります。

何が変わったのか

プレスリリースは、従来のSFA/CRM運用とElliot Sales Engineの違いを次のように説明しています。数値による性能比較ではなく、公式発表の「背景」と「解決策」の記述を整理したものです。

従来型SFA/CRMとElliot Sales Engineを比較する図
データ入力から料金構造まで、従来型との違いを整理
観点従来型SFA/CRMElliot Sales Engine
データ入力営業担当が手入力し、入力漏れや表記ゆれが残りやすいAIがカレンダー・メール・チャット・電話・社内の管理票から自動で記録・整理・更新する
人の役割画面を見て判断することが前提判断が必要な情報だけを人が確認する
料金構造ID課金(利用ID数に応じた料金)型が多く、人数やツールが増えるほど支払いが増えやすい(一般的な傾向として)ID課金ゼロ。人数やAI営業マンの数が増えても追加料金は発生しない(初年度の構築費+保守費)
判断処理記載なし(公式発表に他社ツールとの数値比較はない)優先度付け・案件振り分け・失注理由の分類にJev、文章作成に生成AIと役割を分ける

ライトアップは自社の営業部でAI営業マンを稼働させ、月間830件の新規受注を獲得しているとしています。ただしこれは自社実績であり、「貴社での成果を保証するものではない」とプレスリリース内で注記されています。この数字は導入企業の成果を示すものではなく、自社での運用実績として読む必要があります。

ライトアップはElliot Sales Engineを、営業だけでなくマーケティングや商品企画、カスタマーサクセスなど他部署にもAI活用を広げていく起点と位置づけています。導入を検討する際は、営業部門単独の効果だけでなく、将来的に他部署へ展開する余地があるかも合わせて聞いておくと、判断材料が増えます。

対象となる企業・向き不向き

Elliot Sales Engine公式サイトは対象について「営業15名以上、SFAを導入済みの企業で特に効果が出やすい設計です」と明記しています。業種による限定は見当たりません。

Elliot Sales Engineの対象企業条件を示す図
対象は営業15名以上・SFA導入済みの企業

逆に言えば、営業担当が15名に満たない小規模なチームや、まだSFA/CRMを導入していない企業は、公式が想定する「効果が出やすい」対象からは外れる可能性があります。また、Elliot Sales Engineは企業ごとに専用開発するBtoBサービスで、無料トライアルや操作できる体験版の案内は公式サイトに見当たりません。今すぐ低コストでセルフ登録して試したい、という人には向いておらず、まず資料請求か無料相談で自社の条件を伝えるところから始まります。

提供元のライトアップは2002年設立・資本金3億8,638万円の東証グロース上場企業(証券コード6580)です。個別開発型のサービスであるため、要件のすり合わせから実際の稼働までにどの程度の期間がかかるかは公式発表に記載がなく、この点は資料請求や無料相談の場で確認する必要があります。

今日できる最初の一歩

公式サイトで確認できる申込経路は2つです。1つは資料請求フォーム(会社名・氏名・メールアドレス・電話番号に加え、営業人数を「15名未満」から「100名以上」まで5段階で選ぶ形式)、もう1つはオンラインで日程を選べる「無料相談」の予約です。サイトに「無料トライアル」「無料お試し」の記載はなく、金額(円額)も公式のどこにも明記されていません。費用は「初年度の構築費+保守費」という構造のみが公開されており、実際の金額は個別見積になります。

導入検討の最初の一歩を示す手順図
資料請求か無料相談、まず自社の条件確認から

公式サイトのFAQは7項目用意されており、「何名規模の会社に合いますか」「AIが勝手に顧客へメールを送るのですか」「どのAIを使いますか」「10名より多くつくれますか」「御社自身は使っていますか」「いまのツールは本当に全部やめられますか」「セキュリティは」といった、導入検討時に出やすい疑問への回答が読めます。資料請求や無料相談の前に目を通しておくと、質問がまとめやすくなります。なお、公式発表では先行導入企業10社を募集するとしていますが、応募条件や選考基準の詳細はこれまでに確認できた公式情報の範囲では明記されていません。気になる場合は問い合わせ時に直接確認するとよいでしょう。

なお、AIエージェントによる営業・業務自動化の他の事例は、AIエージェント業務自動化事例|営業60%増の内訳でも紹介しています。他社の取り組みと比べて検討したい場合の参考にしてください。

営業15名以上でSFA/CRMを導入済みという条件に当てはまるなら、今日できる一歩は公式サイトの資料請求フォームか無料相談の予約フォームから、自社の状況を伝えて見積もりの土台を作ることです。具体的な金額はこの記事だけでは分からないため、まず条件に当てはまるかどうかを自社で整理したうえで進めると話がスムーズです。

営業15名以上でSFA導入済みの企業に向く設計。

Elliot Sales Engine を申し込む(公式)