人事データはあるのに、次に何を判断すべきかが現場まで落とし込めていない——そんな悩みに向けて、株式会社カオナビが2026年10月1日、AIエージェント「KTi(ケーティ)」を発表しました。タレントマネジメントシステム「カオナビ」に標準搭載される形で、経営層から現場の一人ひとりまでが使える対話型のAIエージェントです。
KTiは「Kaonavi Talent intelligence」の頭文字。人事データを土台に、日々の「次の一手」を一緒に考えてくれる存在だとカオナビは説明しています。カオナビは2008年設立、人事データを一元管理するタレントマネジメントシステムとして4,500社超に導入されている国内大手です(2025年9月末時点)。
対象になるのは、カオナビを導入済み、またはこれから導入を検討している企業の人事・経営企画担当者です。料金はカオナビの基本プランに標準搭載され、一定の利用回数までは追加費用なしで使える設計。導入済み企業なら管理者メニューから、未導入企業なら資料請求フォームから、今すぐ自社のプランを確認できます。
本記事は公式プレスリリースとKTi公式サイトの記載(確認日:2026年10月2日)に基づいて整理したもので、実際の操作・導入は行っていません。
KTiとは何か
KTiは、カオナビが提供するタレントマネジメントシステムに統合されたAIエージェントです。人事担当者だけでなく、経営層・現場マネージャー・一般社員まで、立場を問わず使える設計になっています。カオナビは今回のKTiを、自社が掲げるビジョン「Talent intelligence™」を実現するための一歩と位置づけています。人事データを管理するだけで終わらせず、そこから意思決定につなげる仕組みを目指す、という位置づけです。

カオナビが掲げる「意思決定に伴走する」という言葉は、単に人事データをグラフや一覧で見せることではありません。KTiに「○○な経験を持つ人は?」のように質問すると対話で答えが返り、そこから次に何をすべきかまで一緒に考えてくれる、という意味だと公式は説明しています。
これまでのタレントマネジメントシステムは、データを「見える化」するところまでが役割でした。そこから何を判断するかは、結局は人事担当者やマネージャー次第だったわけです。KTiはその一歩先、“見えたデータをどう使うか”の部分に踏み込む点が従来との違いです。
発表にあたり、執行役員CPOプロダクトプランニング本部長の井上英樹氏は「AIエージェントは、いま最も競争が激しい領域です。だからこそKTiが大切にするのは、答えを出して終わりにしないこと」とコメントしています。カオナビが4,500社以上と積み上げてきた各社固有のデータを土台に、一人ひとりの”問い”に対話で寄り添い、意思決定を人の手に取り戻すことを目指す、とも述べています。
ChatGPTのような汎用AIとの違いも公式は明確にしています。汎用AIは一般論や公開情報をもとに回答しますが、KTiは企業ごとの人事データだけを根拠に回答する設計です。カオナビが4,500社超(2025年9月末時点)から積み上げてきた業務の型があらかじめ組み込まれているため、質問の仕方を工夫しなくても精度の高い答えにたどり着けるとされています。業務に特化したAIエージェントと汎用AIの違いが気になる人は、Zendeskの業界特化型AIエージェントの解説記事も参考になります。人事領域に限らず、特定業務のデータを土台にしたAIエージェントの導入は他業界でも進んでいて、三菱UFJ信託銀行が導入した法務AIエージェントLegalBrainも、自社データを根拠にする点でKTiと共通しています。
何ができるようになったか(Before/After)
KTiの第一弾機能として提供されるのは「人材検索エージェント」と「キャリア相談エージェント」の2つです。2026年10月より順次提供が始まります。

人材検索エージェントは、「○○な経験を持つ人は?」「□□さんの後任に適した人は?」のように自然な言葉で検索できる機能です。後継者探しや抜擢候補の選定、ハイパフォーマーの発掘といった場面の起点になると説明されています。
キャリア相談エージェントは、社員からのキャリア相談にKTiが応答し、社内公募や学習コンテンツをおすすめする機能です。社員が自分でキャリアを考える手助けをする位置づけです。
公式サイトが示す具体的な利用シーンは次の3つです。
- 一般社員: 評価面談で自分の強みをうまく言葉にできなかった人が、KTiとの対話で気づいていなかった強みを言語化できた
- 現場マネージャー: 1on1前に部下の状態が見えずに悩んでいたが、KTiの分析で残業の偏りに気づき、面談の切り出し方が決まった
- 戦略人事担当: 海外事業に適した人材を社内で探しきれずにいたが、KTiが適合度スコアの高い候補者3名を見つけた
いずれも「データを見る」で止まっていた状態から、「次に何をするか」まで一歩進める、という共通点があります。なお、離職リスクの早期把握や後任者の自動選定といった機能は、現時点の公式発表には記載がありません。第一弾はあくまで人材検索とキャリア相談の2機能です。「第一弾機能」という表現からは、今後機能が追加される可能性もうかがえますが、現時点で公式に発表されているのはこの2つにとどまります。
対象企業・使えるようになる条件
KTiは、すでにカオナビを導入している企業はもちろん、まだ導入していない企業も対象です。公式FAQでは「貴社の人事データという『土台』があるからこそ、個社に合った精度の高い回答が導き出せます。カオナビをまだご利用でない企業さまも、本体導入と合わせてご検討いただけます」と明記されています。つまり、KTi単体での契約ではなく、カオナビ本体の導入とセットで検討する形です。

申し込みの経路は、現在カオナビを使っているかどうかで変わります。
- カオナビ未導入の企業: 公式サイトの資料ダウンロードフォーム、または見積もり問い合わせフォームから問い合わせる
- カオナビ導入済みの企業: ログイン後の管理者メニューから問い合わせる
提供開始時期は2026年10月からと発表されていますが、対象プランの詳細な区分までは公式発表に記載がありません。カオナビ本体を導入していない企業がKTiを検討する場合、本体の契約プロセスも合わせて進めることになるため、問い合わせから利用開始までには一定の期間を見ておく必要があります。導入を具体的に検討する段階では、問い合わせ時に自社のプランで使えるかを確認するのが確実です。
向いている企業・向かない企業
KTiの対象企業について、公式が企業規模や業種で「ここから先は対象外」と線引きしている記載は見当たりません。カオナビの公式サイトも、小規模・中規模・大規模のすべての企業向けに導入シーンを紹介しており、特定の規模に限定する文言はありません。

その上で、KTiの仕組みから向き不向きの傾向を読み取ることはできます。カオナビのCPOは、AIが価値を発揮する条件として「土台」「伴走」「運用」の3つを挙げ、人事データという土台が薄いままだとAIは一般論しか返せなくなる、と説明しています。言い換えると、人事評価・スキル・異動履歴といった人事データがある程度の量と鮮度で蓄積されている企業ほど、KTiの回答は具体的になりやすいと考えられます。逆に、人事データの入力や整備がこれから、という段階の企業では、使い始めてすぐに精度の高い答えが返るとは限らなさそうです。
評価情報など扱いに注意が必要なデータが対象になる点も、検討材料になります。KTiの閲覧権限は役職・役割に応じて設定でき、カオナビはISMAP・ISMS認証を取得してデータを暗号化していると公式は説明しています。KTiとのやり取りは保存されず、AIの学習にも使われない設計とのことです。精度面では、AIの回答に完全に誤りがないとは言い切れないものの、KTiは自社の人事データのみを根拠に回答する設計のため、的外れな回答は起きにくいと説明されています。加えて、KTiが最終的な判断を下すわけではなく、意思決定はあくまで人事担当者など人が行う設計である点も公式は明記しています。センシティブな人事情報を扱うことへの不安がある企業は、こうしたセキュリティ・精度面の説明を問い合わせ時に確認するとよいでしょう。
カオナビのCPOはもう一つ、「運用」という観点も挙げています。現場が人事データを入力し続け、新しいデータが蓄積されるほどKTiの回答は具体的になり、精度が上がるとまた入力したくなる——この循環が回るかどうかが、価値を引き出せるかの分かれ目になる、という考え方です。言い換えると、データ入力を人事部だけに任せず、現場を巻き込んで運用を回せる体制がある企業ほど、KTiを使いこなしやすいと言えそうです。
料金・導入までの最初の一歩
料金は公式に具体的な金額が示されていません。KTiはカオナビの基本プランに標準搭載されており、一定の利用回数までは追加費用なしで使えます。それを超える利用や組織の規模によっては、個別にプランが案内される仕組みです(上限回数そのものは非公開)。まず使ってみてから本格導入の費用感をすり合わせる、という流れになります。

最初の一歩は、問い合わせ先が決まっているぶんシンプルです。カオナビを導入していない企業は資料請求フォームか見積もり問い合わせフォームから、導入済みの企業は管理者メニューから問い合わせれば、自社の状況に合ったプランの案内を受けられます。
人事データはあるのに意思決定まで落とし込めていない、という悩みに心当たりがあるなら、まず現状のデータでKTiが何を返せるのかを問い合わせてみるのが早い経路です。追加費用なしの範囲で試せるぶん、本格導入の判断は使ってみてからでも遅くありません。カオナビ導入済みの企業であれば、管理者メニューからの問い合わせだけで済むぶん、検討のハードルはさらに低くなります。
カオナビ未導入でも対象。
カオナビ KTi の料金プランを確認する(公式)
