スタディストが2026年10月6日、「Teachme Knowledge(ティーチミー・ナレッジ)」の提供を始めました。つまり、動画やPDFなどの資料を入れておくと、AIが中身を整理し、「質問するだけ」で必要な情報とその出典にたどり着ける、社内向けのAIナレッジベース(知識の置き場)です。

関係するのは、ベテランの退職や異動で現場のコツが途切れる心配がある管理者、人事・教育担当、そして手順書づくりが続かない現場の人です。本記事はスタディストの公式発表と製品ページ・料金ページ・問い合わせページ(2026年10月6日確認)に基づく整理です。使い心地や回答の精度の検証は含みません。

迷ったらこれ:知識の途切れが不安なら、まず問い合わせで「料金」と「キャンペーン」を聞く

ベテランに聞かないと分からない作業が多く、退職や異動で知識が失われるのが不安な職場は、Teachme Knowledge の問い合わせから始めるのが近道です。

問い合わせから始める3つの理由の図
料金もキャンペーンも問い合わせでしか分からないので、最初の一歩は問い合わせです。

理由は3つです。

  1. 公式が挙げる悩み(ナレッジを整理する時間がない/ベテランに聞かないと判断できない/情報が見つからない/見つけても理解しづらい)が、この製品の想定そのものだから
  2. 公式の説明では、ファイルの選別・登録やフォルダ整理が不要で、管理者を置かずに蓄積・活用を続けられる設計だから
  3. 提供開始記念として「先着100社限定」のキャンペーンが2026年12月末まで用意され、初期費用無料・月額料金の割引などが案内されるから(条件は契約形態で異なり、詳細は担当者が案内。100社に達した時点で期間内でも終了)

得として具体的に言えるのは、この3つ目です。料金は公開されておらず、キャンペーンの優遇も問い合わせでしか分かりません。

最初にやることは、問い合わせフォームの詳細欄に「キャンペーン希望」と書いて送ることです。入力項目は氏名・会社名・メールアドレス・電話番号・業種・部門・役職・問い合わせ詳細。法人向けの製品なので、個人での利用を想定した窓口ではありません。

向かないのは、AIに読ませる元の資料(作業動画・マニュアル・過去の記録など)をそもそも出せない現場です。詳しくは後半の「向いている人・向かない人」で整理します。

暗黙知・形式知とは?ベテランの勘と、文章になった知識の違い

製品の説明に出てくる言葉を、先に仕事の言葉に直しておきます。

暗黙知と形式知の比較図
「暗黙知を形式知にする」とは、頭の中のコツを次の担当者が読める形に変えることです。
  • 暗黙知=ベテランが感覚でやっている手順やコツ。本人も言葉にしづらく、頭の中にしかない知識
  • 形式知=誰が読んでも分かる文章や手順になった知識

「暗黙知を形式知にする」とは、頭の中のコツを、次の担当者が読める形に変えることです。公式の発表も、熟練者が引退の時期を迎え、言語化されていない暗黙知や判断の勘所が引き継がれないまま失われている、という問題意識(厚生労働省「2026年版ものづくり白書」を引用)から始まっています。

なぜ今?人手不足と属人化、そしてTeachmeシリーズの流れ

公式の発表が挙げる背景は2つです。

現場の知識が属人化していることを示す調査結果の図
この数値は現場の課題を聞いた調査で、Knowledgeを使った効果ではありません。

1. 働き手が減る 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、生産年齢人口(15〜64歳)は2025〜2040年で約15%減る見通しです(公式発表が引用)。

2. 現場の知識が特定の人に偏っている スタディストの自社調査(製造業・従業員100名以上のリーダー職以上、n=300、2026年8月実施)では、次の結果でした。

調査項目割合
業務に必要な知識・ノウハウが特定の人しか分からない91.3%
必要な情報を探し出せない72.3%
探し出せても古い・最新か分からない70.7%
関連情報が別々の場所にあり、つなげて把握できない70.0%

これは現場の課題を聞いた調査で、Knowledge を使った効果の数値ではありません。公式にも、Knowledge 自体の導入効果の数値は載っていません。

予告から提供開始まで

Knowledge は突然出たのではなく、予告から約7か月かけて提供が始まりました。

日付出来事
2026年3月3日発表会で、3月発売の3製品と「夏以降に発売予定の1つの製品」を公表。ZDNET Japan が Knowledge を「従業員のカンやコツといった暗黙知をAIで形式知化し共有可能にする」製品と報じた
2026年3月19日Teachme Process・MySkill・Communication の3製品が提供開始(このリリースに Knowledge の記載はない)
2026年10月6日Teachme Knowledge の提供開始

予告時は「夏以降」で、実際の開始は10月6日でした。3月時点の記事を読んで止まっている方は、提供がすでに始まっていることと、現在の公式の説明が下記のとおりであることを押さえてください。

Teachmeシリーズ全体は、公式によると、業務の「ムリ・ムダ・ムラ」を取り除き、生まれた余力を価値強化に再投資する継続的な改善「リーンオペレーション」の実現を支援する、AI主軸のプロダクト群です。フレームワーク「9 Steps」の各ステップを支援するとされていますが、Knowledge が9つのうちどの段階を担うかは、公式の発表・製品ページのどちらにも明記がありません。

シリーズ内での位置づけは、製品ページのメニュー表記で次のとおりです。

製品公式メニューでの位置づけ
Teachme Process業務の可視化
Teachme Check確認業務のデジタル化
Teachme MySkill人材育成・スキル可視化
Teachme Communication現場の情報共有
Teachme Knowledge組織の知識活用

基幹は、AIマニュアル「Teachme Biz」です。

何ができるようになる?従来のやり方との Before → After

公式の記載にある機能を、現場の場面に置き換えます。

従来のやり方とTeachme Knowledgeの比較図
資料を入れる、質問する、ノートに残す、の流れで知識が会社に蓄積されます。

Before → After の対応

場面従来Teachme Knowledge で言えること(公式の記載)
分からないことを知りたいベテランに聞く、資料を探し回る自然な言葉で質問すると、資料や過去の事例を横断してAIが回答する。回答の根拠となる出典を一覧で確認し、原文で検証できる
資料を置く人がファイルを選び、登録し、フォルダを整理するファイルの選別・登録やフォルダ整理が不要。AIが自動で要約・構造化する
回答を残す聞いた人だけが知っているAIの回答を、公開範囲を指定してノートにまとめられる。次の担当者が使える会社の知識として蓄積される
用語が分からない部署ごとの言い回しを人に聞く専門用語・独自の言い回し・拠点ごとの表記揺れをAIが解説する。表記揺れは辞書登録で整理できる

公式の機能は5つ

  1. 整理が不要:動画・PDF・手順書・過去の記録などを登録すると、AIが内容の関連性で整理し、分類・タグ付け・差分把握もAIが行う
  2. 絞り込み:「業務」「拠点」「時期」など複数の観点を組み合わせて、段階的に絞り込める。キーワード検索に加え、条件を掛け合わせた探索ができる
  3. 質問と回答:リリースの質問例は「設備の仕様と不良時の確認点を教えてください」。出典を一覧で確認できる
  4. ノート化:回答を公開範囲を指定してまとめられる
  5. 用語の解説:専門用語や表記揺れをAIが解説する

さらに公式は「知識が、知識を生む」という考え方を挙げています。蓄積した知識をAIとの対話に使うと、既存の知識同士が掛け合わさって新しい知識が生まれる、という説明です。製品ページの例は、蓄積したトラブル対応の記録を複数横断して共通する原因や過去の対応を確認し、対処策のアイデアを提示するものです。

暗黙知は、どうやって形式知になる?

公式の記載はここまでです。

  • 入力するもの:作業動画・マニュアルなどの情報
  • AIが出すもの:それをもとにした言語化。製品ページには「ベテランのカンコツも、作業動画やマニュアルなどの情報をもとにAIが言語化。引き継ぎや新人教育に役立てられます」とある
  • 人が確認すること:公式に定めた記載はありません。ただし、回答の出典を一覧で見て原文で検証できる、という仕組みは公式にあります

つまり、ベテランの頭の中を直接読み取るわけではなく、動画や文書など、すでに残っている材料から言語化するという流れです。材料がなければAIも言語化できない、と読むのが自然です(この点の明記は公式にはありません。元の材料の出し方は、問い合わせで確かめたいところです)。

「手順書を自動で作る製品」ではない

「手順書として残す製品」と受け取られがちですが、公式の Knowledge の説明には、手順書を自動生成するという記載はありません。手順書づくりは、基幹の Teachme Biz 側の役割です。Knowledge は、知識を蓄積して質問で引き出す「ナレッジベース」と考えてください。

Teachme Biz・Teachme AI との関係と使い分け

読者が一番迷うのがここです。公式で確認できる範囲で整理します。

Teachme KnowledgeとBizの比較図
Biz の料金や無料トライアルを Knowledge のものと取り違えないことが要点です。
項目Teachme KnowledgeTeachme Biz
位置づけ組織の知識活用(AIナレッジベース)AIマニュアルの作成・共有
入力動画・PDF・手順書・過去の記録などを登録動画・既存資料からマニュアルを作成
使い方AIに質問し、出典つきで回答を得るマニュアルを閲覧・検索
料金非公開(問い合わせ)エントリー 89,800円/月(アカウント数50)。ビジネス・エンタープライズは問い合わせ
無料体験記載なし14日間無料トライアル
Biz との連携予定・開発中—

要点は3つです。

  • 別の製品です。 Biz の料金表にある「エントリープラン 89,800円/月」は Biz の料金で、Knowledge の料金ではありません(料金ページに Knowledge の価格表示はありません)
  • Biz との連携は「予定」で、開発中の機能です。 公式が挙げる計画は、Knowledge に蓄積した知識とマニュアルの横断検索、トラブルの記録や対処方針の更新を踏まえたマニュアルの作成・更新の提案、Teachme Process との連携、知識の変化を検知してマニュアルへ自動反映する機能。公式の注記は「いずれも開発中の機能です。内容は変更となる場合があります」です。今日から使える前提で社内に説明しないでください
  • Biz の無料トライアルで Knowledge を試せるとは書かれていません。 トライアルの対象は「Teachme Biz のすべての機能」で、Knowledge が含まれると読める記載はありません

Teachme AI(動画マニュアルの自動作成・多言語翻訳)については、ZDNET Japan(2026年3月3日)が導入約500社、3月からの Entry プラン(AI・自動翻訳を標準搭載)が月額8万9,800円と報じています。これは報道の引用で、公式の Knowledge ページには Teachme AI との関係の記載がありません。Knowledge を入れれば Teachme AI の機能も付く、とは言えないので、併用の可否や契約単位は問い合わせで確認してください。

どんな職場で効く?公式が書いている範囲

製品ページが挙げる、効果の方向は4つです。

公式が挙げる4つの効果の図
効果は4つの方向で語られていますが、数値はなく、業種も限定されていません。
公式が挙げる「実現すること」中身
資料整理の負担削減登録するだけで整理される
情報を探す時間の削減質問で必要な情報にたどり着ける
属人化の解消記録された作業のコツをナレッジとして共有し、技術伝承の実現に貢献
教える・教わる負担の軽減新人が自分で調べられる

どれも定性的な説明で、数値の効果は公式にありません。

対象業種は、公式の Knowledge の記載からは限定されていません。製品ページの表現は、一般的な「現場」「新人」「ベテラン」までです。唯一、背景の調査が製造業のリーダー職以上を対象にしています。そのため、製造・小売・物流・飲食など、特定の業種で効くとここで言い切ることはできません。 自分の職場の業務が当てはまるかは、問い合わせで具体的な業務を挙げて聞くのがいちばん速い方法です。

場面のイメージとしては、公式の質問例が参考になります。設備の仕様と不良時の確認点を、資料と過去事例を横断して引く。トラブルの記録を複数並べて共通の原因を探す。こうした使い方が公式に出ています。

向いている人・向かない人と、導入前の3つの判断軸

向いている人と向かない人の比較図
元になる資料があるかどうかが、向き不向きの分かれ目です。

向いている人

  • ベテランの退職や異動で、ノウハウが途切れる心配がある現場
  • 資料が複数の場所に散らばり、必要な情報を探すのに時間がかかっている現場
  • 手順書づくりが続かず、過去の記録や動画は残っている現場

向かない人

  • AIに読ませる元の資料(作業動画・マニュアル・過去の記録など)を出せない現場。公式の説明は、これらの情報をもとにAIが言語化する流れです
  • 今すぐ手順書を自動でつくりたい人。それは Biz 側の役割です
  • 無料で気軽に試して決めたい人。Knowledge の無料体験・無料プランの記載は公式にありません

判断軸は3つ

以下は公式の記載ではなく、公式の説明から整理した編集上の目安です。効果を保証するものではありません。

判断軸確かめること
元になる情報を出せるか動画・PDF・手順書・過去の記録が実際に手元にあるか。どこに散らばっているか
現場の人が使い続けられるか「質問する」形で、現場の人が日々の業務の中で開くか。ノートに残す習慣が持てるか
既存の手順書との置き換え範囲すでに手順書・マニュアルを持っているなら、それは Biz などで続け、Knowledge は「探す・聞く」側を担う、という分け方になるか(Biz 連携は開発中)

また、外部ストレージとの連携、資料更新の自動検知・差分把握・バージョン管理は、製品ページに「※機能開発中」と明記されています。今は使えない前提で比べてください。

最初の一歩:公式で確認するチェックリストと、社内への説明の一文

問い合わせ前の4ステップの図
この順に確認すれば、問い合わせの詳細欄や商談でそのまま使えます。

問い合わせ前のチェックリスト

そのまま問い合わせの詳細欄や商談で使えます。

  • 対象にしたい業務はどれか(例:設備のトラブル対応、新人の質問対応)
  • 登録したい資料の種類と量(動画・PDF・手順書・過去の記録)
  • 対応しているファイル形式の範囲
  • 提供形態・動作環境・データの扱い・セキュリティ(公式ページに記載がありません)
  • 料金(ユーザー数・課題に合わせて案内。金額は非公開)
  • 提供開始記念キャンペーンの内容(「先着100社」「2026年12月末まで」)
  • 無料の体験の有無(公式に記載なし)
  • Biz・Teachme AI との併用の可否と、連携の提供時期(開発中)

社内への説明の一文

上司や経営層に伝えるときの言い換え例です。

「ベテランの手元にある動画や資料をAIに入れておくと、現場の人が質問するだけで、出典つきで答えを引き出せるサービスが2026年10月6日に始まりました。料金は問い合わせ制なので、まず内容と費用を聞いてから判断したいです。」

効果の数字を添えたくなるところですが、公式にある数字は課題の調査(91.3%など)だけです。使うなら「スタディストの調査では」と添えてください。

連絡先

製品ページの「お問い合わせ」から https://page.teachme.jp/contact/teachme-knowledge に進めます。電話は代表電話050-1744-3760(平日10:00〜18:00)です。

AIで業務を変えた他の発表も、社内説明の参考になります。たとえば、PCA AIエージェントの新機能やHacobu Xの物流AIインフラを併せて読むと、「現場の知識や作業をAIに任せる」動きの全体像がつかめます。

次の一歩:まず問い合わせて、自分の現場の資料で試せるか聞く

今日やる行動は1つです。問い合わせフォームに、対象にしたい業務を1つと「キャンペーン希望」を書いて送り、自分の現場の資料で使えるかを聞いてください。

公式が公開している事実は、Knowledge の料金額が載っていないこと、無料体験の記載がないこと、記念キャンペーンの案内が問い合わせ経由であることの3点です。聞かない限り、料金も条件も判断材料が手に入りません。そのため、まず問い合わせから始めるのが近道です。

もっと詳しく

公式に載っていない確認事項の一覧図
公式で確認できなかった項目は、申し込み前に問い合わせで確かめます。

公式の出典一覧(2026年10月6日確認)

公式に載っていないこと(申し込み前に確認を)

  • Knowledge の料金額(問い合わせ制)
  • 無料体験・無料プランの有無
  • 提供形態、動作環境、対応ファイル形式の範囲、セキュリティ・データの扱い
  • Biz・Process との連携の提供時期(開発中・内容は変更の可能性)
  • 9 Steps のうち Knowledge が担う段階

条件は変わることがあるため、申し込み前に公式で最新の内容を確認してください。