ベル・データ株式会社は2026年9月29日、IBM i(AS/400)向けの「生成AI連携サービス for i」を大型アップデートし、CData Software Japanの「CData Connect AI」を新たにオプション機能として採用したと発表した。これにより、IBM i上の基幹データを生成AIから直接扱える範囲が大きく広がる。対象になるのは、IBM i上で受注・在庫・会計などの基幹システムを運用している製造業・卸売業・物流業のIT担当者・情報システム部門だ。今日できる最初の一歩は、公式サイトで自社が連携したいデータソースが対応リストに含まれているかを確認すること。本記事は2社の公式発表と公式サイトの記載(確認日: 2026年9月29日)にもとづいて構成しており、サービス画面の実際の操作・回答精度の確認は行っていない。
なるほど: 「生成AI連携サービス for i」とは何か
「生成AI連携サービス for i」は、ベル・データが2024年9月25日から提供している、IBM iと生成AIをつなぐサービスだ。IBM i(旧AS/400)は1988年にIBMが発売したビジネス向けコンピュータで、銀行・製造業・小売業などの受注処理・在庫管理・会計処理といった基幹業務を今も支え続けている。開発言語はRPGやCOBOLが中心で、専用の言語・データ構造で組まれているため、これまで一般的な生成AIサービスから直接扱うのが難しい対象だった。

サービスの基本構成は、IBM iとMicrosoft Azure OpenAI Service(マイクロソフトのクラウド上でGPT系のAIモデルをAPI経由で使える法人向けサービス)を接続する仕組みだ。IBM iのデータをもとにしたSQL(データベースへの問い合わせ文)の自動生成、社内業務文書の検索、RPG・COBOLで書かれたコードの検索・解説支援などを提供してきた。想定している課題は、IBM iを扱える技術者の高齢化・後継者不足と、基幹データと社内外に分散したSaaS・クラウドのデータを横断して使える環境が整っていないことの2点だ。
すごい: アップデートで何ができるようになったか
今回の発表は、①標準機能の拡張4点、②新オプション機能2つの追加、の2本立てで構成される。

標準機能の拡張は、UI/UXの改善、承認フロー・権限管理の強化、チャット画面上でのドキュメントのアップロード/ダウンロード対応、複数のデータソースを組み合わせたAIエージェントを構築できる機能の4点だ。
一番の変化は新オプション機能にある。1つ目は「CData Connect AI」との連携で、これまでIBM iと社内ドキュメントが中心だった対象データを、kintone・Salesforce・Dynamics 365など350種類以上のエンタープライズシステムにリアルタイムで広げる。2つ目はQNAPストレージとの連携で、社内共有ストレージ上のPDF・Word・Excelなどの文書を外部に持ち出さずに、自然言語で複数文書を横断検索できるようになる。
つまり、これまで「IBM iの中と、読み込ませた社内文書」に閉じていた生成AIとの対話範囲が、他の業務システムやファイルサーバーまで横断できる範囲に広がったということだ。基幹システムを運用する情報システム部門にとっては、IBM iのデータだけでなく、営業・生産管理など他部門のシステムのデータも同じチャット画面から扱える可能性が出てきたことになる。
CData Connect AIとは何か
今回採用された「CData Connect AI」は、CData Software Japanが提供するAIデータ連携製品だ。同社はこれを「AIを350種類以上のエンタープライズシステムへリアルタイムに接続できるマネージドMCPプラットフォーム」と説明している。MCP(Model Context Protocol)は、AIモデルが外部のデータやツールに接続するための標準的な手順を指す言葉で、CData Connect AIはこの仕組みを使い、既存システムの権限管理(ガバナンス)を保ったままAIからのアクセスを実現するとしている。

CData Connect AI自体は2025年10月9日に「世界初のマネージドMCPプラットフォーム」としてリリースされ、当時は「300種類以上のビジネスデータへのアクセス」という説明だった。今回のベル・データ向け発表では「350種類以上」に増えており、対応データソースの数は公表ベースで増え続けている。公式サイトでは正確な対応数を明記せず「数百のエンタープライズシステムへのユニバーサルアクセス」という表現にとどめ、対応するAIツール・プラットフォームとしてChatGPT、Claude、Databricks Genie、Microsoft Copilot、n8n、Googleなどを挙げている。
今回の採用は、IBM i向けサービス単体の機能拡張であると同時に、IBM i以外のさまざまな業務システムを生成AIとつなぐという、より広い文脈の中にも位置づけられる。
使ってみたい人へ: 向く企業・向かない企業と最初の一歩
「生成AI連携サービス for i」は個人が無料で試せる性質のサービスではなく、IBM iを運用する企業向けの導入支援サービスだ。今日できることは次の3つに絞られる。

- 自社の基幹システムがIBM i(AS/400)で動いているかを情報システム部門に確認する
- ベル・データの公式サイトでサービス詳細・対応データソース・問い合わせ窓口を確認する
- 向いている企業・向かない企業のどちらに近いかを、下の対比で確認する
向いている企業は、IBM i上に基幹データを持ち、すでに社内でChatGPTやCopilotなどの生成AI活用が始まっていて、そのデータとIBM iのデータをつなぎたい企業だ。逆に向かない企業は、基幹システムがIBM i以外(Windows系・クラウドネイティブなど)の場合や、社内にまだ生成AI活用の土台がない企業になる。後者の場合は、CData Connect AI単体(IBM i以外の350種類以上のシステムに対応)や、社内の生成AI導入自体を先に検討したほうが合う可能性がある。
料金はベル・データ・CData Software Japanのどちらも「お問い合わせください」で非公開だ。2026年10月28日には両社共催のオンラインセミナー(Zoom・無料)が予定されており、連携の具体的な活用法を知りたい場合はここに参加するのも1つの手になる。
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公式ページの反映にはタイムラグがある
2026年9月29日時点でベル・データの公式製品ページを確認すると、今回のアップデートの内容(CData Connect AI・QNAPストレージ連携)はまだ反映されておらず、従来のAzure OpenAI Serviceのみを扱う内容のままになっていた。プレスリリースと製品ページの更新には時差が生じることがあるため、最新の対応状況は個別に問い合わせて確認したほうが確実だ。
対応データソース数の表記は増え続けている
CData Connect AIの対応データソース数は、公式サイト自体は「数百」としか明言していないが、2025年10月のリリース時点では「300種類以上」、今回2026年9月のリリースでは「350種類以上」と、発表のたびに数字が増えている。どのデータソースが新たに追加されたかの内訳は公式に明記されていない。
公式に明記されていないこと
以下は両社のプレスリリース・公式サイトのいずれにも記載がなく、この記事でも断定していない。
- CData Connect AI・QNAPストレージ連携オプションの料金体系
- 対応データソースが300種類以上から350種類以上に増えた具体的な内訳
- 「生成AI連携サービス for i」自体の基本料金・ライセンス体系(両社とも問い合わせ制)
- 本アップデートを実際に利用した企業の導入事例や、業務シーンでの具体的な利用感
参照した一次情報
- ベル・データ プレスリリース(2026-09-29)
- CData Software Japan プレスリリース(2026-09-29)
- 生成AI連携サービス for i 製品ページ(ベル・データ)
- CData Connect AI 公式サイト
- 生成AI連携サービス for i 提供開始時の発表(2024-09-25)
まとめ
IBM iのような長年稼働してきた基幹システムのデータを、生成AI経由で他の業務システムやファイルサーバーと横断して扱えるようにする流れは、IBM i以外の領域でも広がっている。テラデータの新AI機能のように、自然言語での問い合わせから分析・運用までをAIが担う取り組みも同じ潮流の一部だ。「生成AI連携サービス for i」の今回のアップデートは、レガシー基幹システムを生成AI活用の外に置かず、他システムと同じ土俣に引き上げる動きの一例といえる。

