Oracleは、採用・業務運営・IT運用の専門知識を「誰でも繰り返し使える手順」にして、これまで何日もかかっていた作業を数分で終えています。OpenAIが2026年10月8日に公開した導入事例の内容です。
この記事では、その事例で何が変わったのかを場面ごとに整理し、あなたの仕事で最初に手順化する作業を1つ選べるところまで案内します。数字はすべてOpenAIの発表に書かれたものです。本記事は製品を実際に操作して測ったものではなく、公式ページの記載(2026年10月9日確認)に基づいています。
つまり何が起きたのか

一言でいうと
Oracleでは、これまで専門家が何日もかけていた調べ物や集計を、「決まった形の手順」としてAIに任せられるようになりました。誰がやっても同じ品質の結果が出る点が、単なる時短との違いです。
事例ページの冒頭に出ている数字は次の3つです。
| 数字 | 意味(公式の記載) |
|---|---|
| 98% | 人材採用に向けた調査時間の削減率 |
| 13万人 | Oracle社内のChatGPTアクティブユーザー数 |
| 9.5万人以上 | Oracle社内のCodexアクティブユーザー数 |
注意したいのは、98%は「採用の調査時間」の削減率であって、会社全体の削減率ではないことです。また、これらはOpenAIが掲載した企業の自己申告で、第三者による検証はありません。
迷ったらこれ
- 毎週のように同じ形の調べ物・資料づくりがある人は、ChatGPT Workのデスクトップ版から始める。 無料版でも制限付きで使えます。
- 得られるもの: Oracleの採用チームは、情報をまとめる作業が2〜4日から15〜20分になったと発表されています(OpenAIの発表)。
- 最初の5分でやること: 自分の仕事から「毎回ほぼ同じ形で進める作業」を1つ選び、手順を3〜5行で書き出します。具体的なやり方は後半の「今日試せる最初の一歩」で説明します。
- 向かない人: 判断が毎回大きく変わる仕事や、AIに渡せない機密データが中心の仕事。理由は後半で説明します。
専門用語を先に一言ずつ
- ChatGPT Work: 資料・アプリ・ファイルなどの情報を集めて、ドキュメントやスライド、表、レポートといった完成物に仕上げるAI機能です。公式は「散在するメモや下書き、アイデアを完成した成果物に変え」ると説明しています。
- Codex: コーディングなどの開発作業を任せるAIです。Oracleの事例では、開発だけでなく社内システムへの問い合わせや障害対応にも使われています。
- ワークフロー(手順): 「入力→判断→出力」の決まった流れのことです。
「数日が数分に」の中身:場面別の Before → After
事例ページに書かれた3つの場面を、誰が・何を・どう変えたかで整理します。

採用:調べ物が2〜4日から15〜20分に
- 誰が: 人材採用チームの採用担当者
- 何をしたか: ChatGPT Workで「人材市場分析ツール」を作りました。職務記述書を入力すると、類似職種を調べ、報酬水準を比較し、対象地域の候補者層を分析してくれます。採用部門の責任者との打ち合わせに必要な情報を得るためのものです。
- Before: 情報をまとめるのに2〜4日かかっていました。
- After: グローバル人材採用責任者のJan Ackerman氏は「15〜20分ほどで準備が整います」と述べています。
時間以外にも変化があります。以前は採用要件のヒアリングの進め方が案件ごとに違っていましたが、ツールでプロセスが統一され、採用部門の責任者はどの採用担当者と組んでも同じ品質のデータを得られるようになったとのことです。
「数日→数分」と言えるのは、この採用の場面だけです。
業務ユーザー:数時間かかる質問にほぼ即座に回答
- 誰が: Oracle Applications Labの業務ユーザー(ここからはCodexの話です)
- 何をしたか: 会社のオブジェクト、関係性、ルールを体系化した「オントロジー」を作りました。オントロジーとは、社内のデータ用語とその関係を整理した辞書のようなものです。これにより、普段の言葉で書いた業務上の質問を、Codexが信頼性の高いSQL(データベースへの問い合わせ命令)に変換できます。
- Before: 通常は答えを出すのに数時間かかる質問でした。
- After: 質問を入力したユーザーは「ほぼ即座に回答が得られました」と報告しています。従来の手作業の結果と照合すると、数値は完全に一致したとのことです。
ユーザーが求める結果を伝えると、Codexが呼び出すべき社内システムを判断して情報を集め、分析結果・レポート・アプリケーションを返す、と説明されています。
運用:単純なインシデントが1時間から数分に
- 誰が: サイト信頼性エンジニア(SRE)
- 何をしたか: Codexを使い、インシデントに関連する状況を把握し、適切な対応手順書を自動的に呼び出しています。
- Before: よくある単純なインシデントでも解決に1時間かかっていました。
- After: Applications Labグループバイスプレジデントのコメントとして「今では数分で対応できます」と紹介されています。SREは情報を探す時間が減り、判断に使える時間が増えたとのことです。
「Workの事例」と一括りにしない
3場面のうち、ChatGPT Workでツールを作ったと明記されているのは採用チームだけです。業務ユーザーと運用の2場面はCodexの話です。
なお、同じページの関連事例として、NTTデータグループがCodexで障害解析業務を3日から30分にした事例も紹介されています。
ChatGPT WorkとCodexの役割分担
公式ページから確認できる範囲で、2つの違いを整理します。

| ChatGPT Work | Codex | |
|---|---|---|
| 得意なこと | 資料・アプリ・ファイルをもとに、ドキュメント・スライド・スプレッドシート・サイト・レポートなどの成果物を作る | コーディング作業を任せる。Oracleの事例ではSQL作成、社内システムへの問い合わせ、対応手順書の呼び出しにも使用 |
| 任せ方 | 目標を与える、定期作業をスケジュールする、更新の監視を依頼する | 求める結果を伝える |
| 人の関わり | 判断や承認が必要な場面で確認を求める。実行前に計画を確認できる「プランモード」がある | 仕組みが正しく作られているかの確認は人が担う |
Workの主な機能は、次のとおり公式ページに書かれています。
- 成果物づくり: テンプレートや希望の形式に沿って作成できます。
- プラグイン: 1,400を超えるプラグインに対応しています。
- 定期実行: タスクを1回だけ、または定期的に実行できます。会社が承認したツールで週次レポートなどを任せる「チームタスク」もあります。
- Sites: 計画やデータを、共有できるインタラクティブなサイトやWebアプリ(ダッシュボードなど)にできます。
高度なローカルファイル操作やCodexの利用はデスクトップ版が前提です。
Codexの業務導入での費用効率については、LegalOnのCodex費用65%減|3モデル使い分け術で複数モデルの使い分けと費用削減事例を紹介しています。
「毎回プロンプトを書き直す使い方」との違いは、次の節で説明する手順の再利用にあります。
なぜ数日が数分になるのか:手順を「繰り返し使える形」にしている
AIに毎回その場で指示を書いて、結果を人が手直しする使い方では、うまい人の工夫が個人の中に残ります。Oracleの事例の副題は、これと逆の「専門知識を、迅速かつ再現性のあるワークフローへと転換する」ことです。

- 採用: 職務記述書を入れれば、毎回同じ観点(類似職種・報酬・候補者層)で分析が出る
- 業務ユーザー: 会社の用語と関係を整理しておけば、普段の言葉の質問がSQLになる
- 運用: インシデントに合った対応手順書を呼び出す
事例ページには、こうしたツールをどんな機能や設定で作ったかは公開されていません。ここまでは、書かれていることを業務の言葉に言い換えたものです。
一般的な「手順の再利用」の仕組みとして、公式が公開しているのがスキルです。OpenAIのヘルプでは、スキルを「ChatGPTが特定のタスクをより一貫して完了できるようにする、再利用可能で共有可能なワークフロー」と説明しています。指示や例、コードを含められ、作ってインストールすると、役立つときにChatGPTが自動で使います。
- 作り方は、サイドバーのPluginsからSkillsを開いてCreateを選ぶ形です。「Create with chat」ならChatGPTが追加の質問をしてくれます。
- ヘルプの記載では、提供対象はBusiness、Enterprise、Healthcare、Eduのユーザー(ワークスペース設定と提供状況による)です。Plus・Proで使えるかは、ヘルプには明記されていません。
- Codex側にも同様のスキルがあり、公式ガイドでは「長いプロンプトを毎回貼る」ことを避けられると説明されています。
Oracleの事例ページにはスキルという言葉は出てきません。Oracleがスキルで手順化したとは言えない点にご注意ください。
自分の仕事に置き換えるなら
ここからは公式の記載ではなく、この記事の編集上の考え方です。

手順化に向く作業の見分け方
次の3つに当てはまる作業ほど向いています。
- 毎回ほぼ同じ判断基準で進める
- 手順を知っている人に頼りきりで、担当者によって結果がばらつく
- 数時間〜数日かかるが、中身は定型的
2つ目は、Oracleの採用チームが「案件ごとにヒアリングの進め方が違う」状態から「誰と組んでも同じ品質」に変わった点と重なります。公式の「まずは、チームがすでに取り組んでいる業務から始めましょう」という案内とも一致します。
職種別・最初の候補(編集上の例)
| 職種 | 最初に手順化する候補 |
|---|---|
| 採用 | 募集ポジションごとの報酬相場・類似職種の調べ物(Oracleの事例に近い) |
| 開発 | よくある問い合わせへの調査手順、定型のコードレビュー観点の整理 |
| 運用 | よくある単純な障害の初動手順の呼び出し |
| 事務・営業企画 | 週次のレポートづくり、メール返信の下書き |
Workの公式ページには、週次ブリーフやアンケートの分析、メール返信の下書き(送らずレビュー用に残す)などが例として載っています。
実装事例についてはAIエージェント業務自動化事例|営業60%増の内訳で、営業チームの自動化事例を詳しく解説しています。
向く人・向かない人
| 向く人 | 向かない人 |
|---|---|
| 定型の調べ物・資料づくりに毎週時間を取られている人 | 判断が毎回大きく変わる仕事が中心の人(編集上の見解) |
| 自分の仕事の手順を言葉で書き出せる人 | AIに渡せない機密データを扱う作業が中心の人 |
Oracleの事例でも、ツールを作るのはAIでも、成果物に責任を持つのは人だと明記されています。システムが正しく作られているかを確認する人は、引き続き必要だとされています。
機密データについては、プランによって扱いが違います。BusinessとEnterpriseは、デフォルトでビジネスデータを学習に使いません。無料版・Go・Plus・Proでは、学習への利用を設定でオフにできます。
Oracleほどの規模がなくても、デスクトップ版は全プランで使えるため、個人や小さなチームでも試せます。大企業の事例は「全社で10万人」ではなく、「1つの定型作業を手順にする」単位に読み替えるのがコツです。
今日試せる最初の一歩

利用できるプラン(2026年10月9日確認)
| プラン | 月額 | Workの扱い |
|---|---|---|
| 無料 | ¥0 | デスクトップでの制限付きアクセス。Codexにも上限あり |
| Go | ¥1,400 | 制限あり(デスクトップアプリ) |
| Plus | ¥3,000 | デスクトップ・ウェブ・モバイルでアクセスが拡大 |
| Pro | ¥16,800から | セッションをより長く利用可能(3段階の利用枠) |
| Business | 1ユーザー ¥3,050(年額課金・2名以上)/¥3,850(月額課金) | Web・デスクトップ・モバイルでChatGPT・Work・Codexを利用可能 |
Web版・モバイル版のWorkは、Plus、Pro、Business、Enterprise、Eduが対象です。税込かどうかは公式ページに記載がありません。無料版の回数や時間の上限は、ページに数値が載っていません。
まず試したい人には、無料版のデスクトップ版ChatGPT Work(制限付き)が入口です(2026-10-09確認)
ChatGPT Work を無料で始める(公式)最初の1手順の作り方
- 自分の仕事から、前の節の3条件に当てはまる作業を1つ選びます。
- その作業を、入力(何を渡すか)、判断(何を基準に選ぶか)、出力(どんな形で欲しいか)の3〜5行で書き出します。
- ChatGPT Workに渡して、結果が望む形かを確認します。メールの送信など外に出る操作は、自分で確認してから行います。
- 結果が安定したら、スキルなどで再利用できる形にすることを検討します(スキルはプランによって対象が異なります)。
迷う場合は、読む・整理する・下書きするところまでを任せるのが安全です。Workは判断や承認が必要な場面で確認を求める作りになっています。
OpenAIの発表では、Oracleの採用チームは2〜4日かかっていた調べ物を15〜20分に短縮しています。まずは無料のデスクトップ版で、自分の定型作業を1つ手順にしてみてください。
料金・上限・提供範囲は変わることがあるため、申し込み前に公式の料金ページで最新の内容を確認してください。
もっと詳しく
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