Autodeskが2026年9月15日〜17日(日本時間16日〜18日)にラスベガスで開催したカンファレンス「AU2026」で、映像・ゲーム制作向けのAI機能をまとめて発表しました。つまり、AutoCAD(設計・製図ソフト)の新機能ではなく、Maya・3ds Max・Flow Studio・Flow Captureといった映像・ゲーム制作ツール側のAI機能強化が中心です。
関係するのは映像・ゲーム制作の実務者と、その制作を外注したい中小事業者です。建築・製造設計でAutoCADやRevitを使っている方には、今回の発表は直接関係しません(該当する発表は別にあります。詳しくは後述します)。
迷ったらこれ: 映像制作の初期段階で手を動かしてみたいなら、Autodesk Flow Studioの無料プランから始めるのが現実的です。公式発表によれば、クレジットカード登録不要・月300クレジット(生成のたびに消費するポイントのようなもの)で、テキストや画像から数分〜数秒で下書きの3Dアセットを生成できます。最初の5分でやることは、公式サイトでFlow Studioの無料プランに登録し、テキストプロンプトで1つアセットを生成してみることです。
ここでの内容は公開情報(PR TIMES配信記事とAutodesk公式ブログ、2026年10月1日時点で確認)に基づきます。実際にツールを操作した実測は行っていません。
何が新しいのか(Before→After)
これまでの映像・ゲーム制作では、初期段階のキャラクターや背景の3Dアセットを一から手作業で作り、遠隔地のチームとのやり取りは撮影した映像をファイルで送って個別に確認する、というのが一般的な進め方でした。AU2026でAutodeskが紹介した内容を、作業の言葉に置き換えると次のようになります。

- Flow Studio(3Dアセットの下書き): テキストで指示を書くと数分、画像(Googleの「Nano Banana」などの画像生成AIモデル)を使うと数秒でデザインの候補が複数できます。できたアセットはそのまま最終素材として使うのではなく、「制作初期の工程を短縮する下書き」という位置づけだと公式に明記されています。
- 3D Editor + Canvas(要素を個別に編集し続けられる): キャラクター・カメラ・環境・アニメーションといった要素を1つに固定せず、バラバラに編集し続けられる機能です。3D Editorはシーン全体の構成調整、Canvasはノードでつなぐ2Dの検討スペースという役割分担です。この機能自体は2026年8月に先行発表されたもので、AU2026はその使い方を紹介した場という位置づけです。
- Flow Capture(レビューの一本化): 離れた場所にいる制作チーム同士で、撮影した映像を見ながらリアルタイムにフレーム単位の注釈・意思決定ができます。「Smart Search and Actions」はAIが映像を解析して問題点を検出したり、プレイリストを自動で作る機能ですが、まだテックプレビュー(開発中の先行提供)の段階で、撮影クルーの判断を置き換えるのではなく補う位置づけだと公式に説明されています。
- Maya「MotionMaker」: 歩く・方向転換する・ジャンプするといった基本の移動動作を、簡単な動線とタイミングの指定だけで自動生成します。出力は固定済みの映像ではなく、Maya上で編集し直せるアニメーションカーブです。この機能の初出は2025年6月(Maya 2026.1)で、AU2026では活用例として紹介されました。
- 3ds Max「Gaussian Splats」: 実際の空間や物体をキャプチャしたデータを、編集可能なオブジェクトとして3ds Max内で扱えるようになりました。2026年7月時点で先行リリースされている機能です。
共通するのは「AIが最終成果物を決めるのではなく、繰り返し作業や検討の初期段階を短縮し、最終的な表現や判断はアーティストが担う」という位置づけです。公式も「クリエイティブなプロセスそのものを置き換えるのではなく、反復作業を減らし、アーティストが創造的な仕事に多くの時間を使える環境を目指す」と明記しています。
対象ツールと対象者(AutoCADとは無関係)
今回のAU2026の発表は、Maya・3ds Max・Flow Studio・Flow Captureという映像・ゲーム制作向けのツール群が対象です。設計・製図ソフトのAutoCAD、BIMのRevit、製品設計のFusionは、今回のPR TIMES配信の発表には含まれていません。

「Autodesk AI機能」で検索して建築・製造設計向けの情報を探していた方には、今回の発表は直接関係しません。AutoCAD側のAI機能(マクロアドバイザ・スマートブロックなど)は2025年9月の別のアップデートで追加されたもので、今回のAU2026発表とは別の話です。
なお、AU2026では建築・インフラ向けのForma、製品設計のFusionなど設計・製造分野のAI機能についても発表がありました。こちらは今回のPR TIMES配信の対象外ですが、関連する内容はAutodesk、3クラウドに自律AIエージェント追加で扱っています。
料金プラン(Flow Studio・Flow Capture)
Flow Studioの料金プランは、2026年9月28日付のAutodesk公式ブログに掲載されています。価格は米ドル表記が一次情報で、為替変動があるため円換算額はここでは断定しません。

| プラン | 料金 | クレジット | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| Free | $0/月 | 300 | カード登録不要・透かし入り・最大720p・ストレージ1GB・同時生成1本 |
| Education | 無料 | 2,100 | 18歳以上の学生・教育者対象 |
| Lite | $10/月(年払い$7/月) | 2,100 | - |
| Standard | $45/月(年払い$30/月) | 6,000 | Live Action Advanced・MetaHuman対応・USD書き出し・4K出力 |
| Pro | $95/月(年払い$64/月) | 12,000 | Character Pass export・同時生成15本・モーションキャプチャ4人まで |
| Enterprise | 要問合せ | 48,000 | AI学習データのオプトアウトがデフォルト有効・同時生成20本・モーションキャプチャ7人まで |
Freeプランの新設自体は2025年8月のSIGGRAPH 2025で発表されたもので、AU2026の新発表ではありません。「初めてAI搭載の映像制作ツールに触れるクリエイター」「インディー映像制作者」を主な対象として用意されたプランです。公式サイトの情報によれば、18歳以上の学生・教育者はLiteプラン相当の機能に1年間無料でアクセスできます。
Flow Captureには個人向けの固定プランの公開がなく、企業向けのカスタム見積もりとなります。30日間の無料トライアルがあり、Autodeskの体験版ページから申し込めます。Chrome・Safariで使えるクラウドベースのソフトウェアと説明されています。
MotionMakerはMaya標準サブスクリプションに追加費用なしで含まれると業界メディアが報じていますが、この価格情報はAutodesk公式ページで直接確認できておらず、二次情報であることを明記します。
試せるか・向いている人/向かない人
向いている人
- 映像・ゲーム制作の個人クリエイター、インディー映像制作者、小規模スタジオ(Flow Studioの無料プランはカード登録なしで試せる範囲が公式に明記されている)
- 遠隔地の制作チームと映像レビューを一本化したい事業者(Flow Captureの想定用途)
- 映像制作を外注したい中小事業者(発注先がどのツールを使っているか・使えるかの判断材料になる)

向かない人
- 建築・製造設計の実務者(AutoCAD・Revit・Fusionは今回の発表の対象外)
- AIだけで最終納品レベルの映像を完成させたい人(公式には「初期工程の短縮」が目的と明記されており、最終成果物としての利用は想定されていない)
- 透かしなし・720p超の解像度が必須な人(無料プランは透かし入り・最大720pまで)
個人開発者・中小事業者への示唆
中小の映像・ゲーム制作会社や、映像制作を内製・外注したい事業者にとって、今回の発表で押さえておきたいのはコスト感です。Flow Studioはカード登録不要の無料プランから始められ、月額$10(年払いなら$7/月)のLiteプランまで低価格帯が用意されています。NotebookLM使い方|無料版の上限を確認のように、ツール導入前に無料枠の制限を把握することが、選定の判断材料になります。

Autodeskは今回のAU2026にあわせて、中小企業向けの学習パス「AU for Small Business」も用意しました。AutoCAD・Revit・Fusion・Inventor・Flow Studio・Mayaの技術セッションに加え、キーノート・セッションの無料ライブ配信(多言語対応)が含まれます。外注先を選ぶ前に、どのツールが自社の制作フローに合うかを無料で見極める材料になります。
今日できることは、Autodesk Flow Studioの無料プランにカード登録なしで申し込み、テキストプロンプトで3Dアセットを1つ生成してみることです。
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AU2026のその他の発表: 本記事で扱ったメディア&エンターテインメント向けの発表とは別に、AU2026ではAutodesk Assistantのエージェント化(スタンドアロン版は2027年に価格・条件とともに発表予定)、建築・インフラ向けのForma、製品設計のFusionに関する発表もありました。これらは今回のPR TIMES配信の対象外のため、ここでは扱っていません。
Flow・Flow Captureという名称について: Flow CaptureやFlow Production Trackingという名称は、かつてのPIX・Moxion・ShotGridがAutodeskの「Flow」ブランドに統合される過程で付けられたもので、2024年3月の名称変更発表が起点です。

