Anthropic が小型モデルを Haiku 4.5 から Claude Haiku 5.5 に更新しました(公式の公開日は 2026年10月7日)。つまり、軽い作業を大量に回すときの1件あたりの料金が大きく下がる可能性が出てきた、という話です。
本記事の数値と仕様は、2026年10月8日時点の Anthropic 公式の発表ページ、モデルページ、料金ページ、移行ガイドの記載に基づきます。実際にモデルを呼び出して測った結果ではありません。月額の試算は公式単価からの計算値で、件数やトークン数は筆者の仮定です。
迷ったらこれ:大量の軽い作業は、1処理だけ5.5に替えて比べる
- 乗り換え候補: 問い合わせの分類、議事録の要約、項目の抽出など、軽い反復作業を毎日大量に回している人。Haiku 5.5 をおすすめします。
- 据え置きでよい: 長い多段推論や難度の高いコード生成が中心の人。判断ミスのコストが高い作業も、上位モデルのままで構いません。
- 得になりそうな点: 公式単価で計算すると、入力800・出力50トークンの問い合わせ分類を月1万件回した場合、Haiku 4.5 で月 $10.50、Haiku 5.5 で月 $1.05 です。後述のトークン増(約30%)を見込んでも約 $1.36 です。
- 最初の5分でやること: いま Haiku 4.5 で動かしている処理を1つ選び、モデルIDを
claude-haiku-5-5に替えて、同じ入力10〜20件で出力と料金を見比べます。手順は後半にあります。
乗り換えは「単価が下がったから全部替える」ではなく、「件数×単価で効く処理から順に替える」が基本です。ただし、移行時にエラーになる設定がいくつかあります(後述)。差し替えだけで済むとは限りません。

何が変わったか:Haiku 4.5 との違い(公式の値)
まず、公式の記載を並べます。

| 項目 | Haiku 4.5 | Haiku 5.5 |
|---|---|---|
| モデルID | claude-haiku-4-5-20251001 | claude-haiku-5-5 |
| 入力 / 出力(100万トークンあたり) | $1 / $5 | $0.10 / $0.50(プロンプト100K以下)、$0.50 / $2.50(100K超) |
| キャッシュ読取 | $0.10 | $0.01(100K以下)、$0.05(100K超) |
| Batch API 入力 / 出力 | $0.50 / $2.50 | $0.05 / $0.25(100K以下)、$0.25 / $1.25(100K超) |
| コンテキスト長 / 最大出力 | 200K / 64K | 1M / 128K |
| 思考 | 手動の extended thinking | adaptive thinking(既定で有効) |
| effort(思考の深さの指定) | 非対応 | 対応(既定は medium) |
| 入力 | テキスト・画像 | テキスト・画像 |
| 知識カットオフ | 2025年2月 | 2026年6月 |
| 状態 | Active(legacy) | Active(latest) |
ここで押さえたい点は4つです。
1. 単価は大きく下がりました。 入力・出力とも、100K以下のプロンプトでは Haiku 4.5 の10分の1です。
2. 長いプロンプトは単価が上がります。 Haiku 5.5 はプロンプトの長さで料金が2段階に分かれます。100Kを超えると入力 $0.50 / 出力 $2.50 です。それでも Haiku 4.5 の半額ですが、他の4.6以降のモデルが1Mまで同一単価なのとは違う点です。
3. 同じ文章でもトークンが約30%増えます。 Haiku 5.5 は新しいトークナイザー(文章をトークンに区切る仕組み)を使います。公式は、同じテキストが Haiku 4.5 より約30%多いトークンになると説明しています。増え方は内容によります。単価が下がっても、請求は「単価×トークン数」なので、見積もりでは30%を上乗せして考えるのが安全です。
4. 「考える量」を自分で調整できます。 adaptive thinking は、モデルが問題の難しさに応じて思考量を決める仕組みです。effort は low / medium / high / xhigh / max の5段階で、Haiku として初めての対応です。
公式の「約75%減」をどう読むか
公式は「Haiku 4.5 より実行コストが平均で約75%低い」と説明しています。発表ページの脚注には次の内訳があります。
- 100K以下のリクエストは Haiku 4.5 より90%安い
- 100K超のリクエストは50%安い
- Haiku 4.5 のリクエストの90%は100K以下に該当する
- トークナイザーの更新も影響している
つまり75%は、単価だけの差(90%減)ではありません。長いプロンプトとトークン増を織り込んだ平均です。自分の作業が短いプロンプト中心なら、もっと大きく下がる可能性があります。長文中心なら、50%減に近づきます。これは Anthropic 自身の説明で、第三者による検証は確認できていません。
月額イメージ(公式単価からの計算)
Before → After で見ると、たとえば問い合わせの一次分類を毎月1万件回している小さな事業者は、月 $10.50 の請求が $1〜1.4 前後になる計算です。計算式は次のとおりです。
月額 = 件数 × (入力トークン × 入力単価 + 出力トークン × 出力単価) ÷ 1,000,000
Haiku 5.5 は、トークン数が同じ場合と、約30%増(×1.3)の場合を出します。件数・トークン数は仮定です。
| 仮定の作業 | Haiku 4.5 | Haiku 5.5(同トークン) | Haiku 5.5(×1.3) |
|---|---|---|---|
| 問い合わせ分類 1万件/月(入力800・出力50) | $10.50 | $1.05 | 約$1.36(−87%) |
| 議事録要約 3,000件/月(入力6,000・出力600) | $27.00 | $2.70 | 約$3.51(−87%) |
| 項目抽出 9万件/月=3,000件/日(入力1,500・出力300) | $270.00 | $27.00 | 約$35.10(−87%) |
| 上の抽出を Batch API で処理 | $135.00 | — | 約$17.55 |
| 100K超の長文 1,000件(入力150,000・出力1,000) | $155.00 | — | 約$100.75(−35%) |
件数が多い抽出ほど差額が大きく、月9万件なら Haiku 4.5 の $270 が約 $35 まで下がる計算です。件数が効く作業から試す理由はここにあります。
軽い反復業務を大量に回す人には、公式料金で入力$0.10・出力$0.50/MTok(4.5は$1・$5)
Claude Haiku 5.5 の料金プランを確認する(公式)注意してほしいのは、この計算に思考トークンが入っていないことです。adaptive thinking は既定で有効で、思考トークンは出力として課金されると読めます。実際の請求額は effort の設定次第で、上の表より増える場合があります。計算値なので、実際の金額は自分の作業で比べてください。
乗り換え前に確認すること(移行で壊れる設定)
公式の移行ガイドによると、Haiku 4.5 向けのコードをそのまま claude-haiku-5-5 に替えると、400エラーになる設定があります。

| 4.5 での書き方 | 5.5 での扱い |
|---|---|
thinking: {"type":"enabled","budget_tokens":N} | 400エラー。adaptive thinking と output_config.effort に変更 |
temperature / top_p / top_k を既定値以外に設定 | 400エラー |
| assistant の prefill(返答の書き出しを先に埋める手法) | 思考をオフにしていても400エラー。messages は user ターンで終える |
コンピュータ使用ツール computer_20250124 | computer_toolset_20260801 に変更 |
| 思考ブロックを含む会話の、過去ターンの書き換え | 400エラー(追記のみ可) |
JSON の出力形式を prefill で固定していた処理は、特に影響を受けます。このほか、動作面で次の変更があります。
- 応答が thinking ブロックから始まる場合があります。コンテンツは位置ではなく
typeで選んでください。 - 思考テキストは既定で省略されます。必要なら
display: "summarized"を指定します。 - 安全性分類器による拒否(
stop_reason: "refusal")が新たに出ることがあります。 公式は「Haiku 4.5 から移行する場合、これらの拒否は新しい」としています。カテゴリは cyber / frontier_llm / bio / general_harms で、無害な作業でも cyber や general_harms が出ることがあると書かれています。自動処理では、拒否が返ったときの扱いを決めておく必要があります。 - Haiku 4.5 で Priority Tier(優先的に処理枠を確保する契約)を使っている組織は、Haiku 5.5 では非対応です。別途キャパシティ計画が必要です。
effort の使い分けについては、公式の指針があります。
low:チャット、短いツール作業、大量の単純なリクエスト向けmedium:既定high:ナレッジワーク、長いエージェント処理、厳密な指示追従向け
low で長いエージェント処理を回すと、検索の省略や早期停止が起きやすいとの記載もあります。分類や抽出のような単純作業は low から試し、結果が不安定なら medium に上げる順序が良さそうです。ただし、low から medium に上げると出力トークンが2倍以上になった、という Anthropic のテスト結果も公式にあります。料金とのバランスを見ながら決めてください。
Haiku 4.5 はいつまで使えるか
公式の非推奨一覧では、claude-haiku-4-5-20251001 は Active です。退役の目安は「Not sooner than October 15, 2026」と書かれています。これは「10月15日より前には止まらない」という下限で、10月15日に止まるという意味ではありません。Deprecated 欄は N/A で、廃止の通知もまだ出ていません。

公式は、一般公開モデルの廃止の少なくとも60日前に通知すると記載しています。ただし、Haiku 4.5 のモデルページは Legacy 表示で、Haiku 5.5 への移行を検討するよう案内しています。急ぐ必要はありませんが、移行の準備は早めに始めて損はありません。
Claude 内の使い分けと、性能の比較表
公式のモデル概要では、現行ラインナップは次の位置づけです。

| モデル | 価格(入力/出力、100万トークンあたり) | 速度(公式の表記) |
|---|---|---|
| Fable 5.1 | $10 / $50 | Slower |
| Opus 5.5 | $4 / $20 | Moderate |
| Sonnet 5.5 | $2 / $10 | Fast |
| Haiku 5.5 | $0.10 / $0.50〜 | Fastest |
いずれもコンテキスト1M・最大出力128Kです。公式は Sonnet 5.5 を「速度と知能の最良の組み合わせ」と説明し、Haiku 5.5 は「分類、抽出、ルーティングなど、大量で遅延に敏感な作業向け」と位置づけています。
関連記事として、Claude Sonnet 5.5 の提供開始とOpus 5.5 と Opus 5 の違いも参考になります。
発表ページには、Anthropic 自身によるベンチマーク(共通の課題でモデルの性能を点数化した測定)の表があります。一部を抜粋します。
| ベンチマーク | Haiku 5.5 | Haiku 4.5 | GPT-6 Luna | Sonnet 5.5 |
|---|---|---|---|---|
| OSWorld 2.1 | 72.4% | 15.7% | 48.9% | 83.9% |
| Terminal-Bench 4.0 | 39.2% | 0.0% | 16.4% | 70.6% |
| Humanity’s Last Exam(ツール有) | 57.4% | 18.7% | — | 64.5% |
| FrontierCode 1.1 | 46.4% | — | 42.4% | 52.1% |
読み取れるのは次の2点です。
- Haiku 5.5 は Haiku 4.5 より大きく上がっています。
- Sonnet 5.5 は、Haiku 5.5 よりさらに上です。特にコーディングやターミナル操作の指標は差が大きく、難しいコード作業は Sonnet 5.5 のほうが有利です。
他社の小型モデルとの比較は、公式の表に載っている GPT-6 Luna だけです。この表は Anthropic 自身の測定で、第三者による検証は確認できていません。
どんな業務に向くか
公式の位置づけと価格・仕様から、次のように整理できます。ここは筆者の整理で、公式がこのとおり述べているわけではありません。

向く作業
- 問い合わせメールの一次分類、ルーティング
- 議事録や記事の短い要約
- 書類やメールからの項目抽出
- 他の処理の前段で行う振り分け・フィルタ
据え置きを考えたい作業
- 長い多段推論が必要な作業
- 難度の高いコード生成
- 間違えたときの影響が大きく、人が気づけない作業
判断は2つの軸で足ります。
- 失敗したとき、人が気づけるか。 気づける作業(あとで一覧を確認できる分類など)なら、安い小型モデルを試しやすいです。
- 1件あたりの単価が効く件数か。 月数百件なら、差額は数ドルです。月数万件以上で効いてきます。
今日の試し方(3ステップ)
公式の記載に基づく手順です。筆者が実際に試した手順ではありません。

- 差し替える処理を1つ選びます。 結果を目で確認できる、失敗しても困らない作業が向いています。
- モデルIDを替えます。
claude-haiku-4-5-20251001(またはclaude-haiku-4-5)をclaude-haiku-5-5にします。Amazon Bedrock ではanthropic.claude-haiku-5-5です。あわせて、前の章の表にある budget_tokens、temperature 系、prefill が残っていないか確認します。 - 同じ入力10〜20件で比べます。 出力の質、使用トークン数、料金を Haiku 4.5 と並べます。トークン数は約30%増える前提で見て、増え方が想定より大きくないかも確認します。
無料で試せる範囲については、API の新規ユーザー向けに少額の無料クレジットがある旨が料金ページのFAQにあります。Claude アプリでの選択可否やプランごとの上限は、申し込み前に公式の料金ページで確認しておくと安心です。
月1万件の分類で月額が $10.50 から約 $1.36 になる計算なので、試す価値は十分にあります。今日やるのは、Haiku 4.5 で動かしている処理を1つ選び、10〜20件で比べるところまでです。
軽い反復業務を大量に回す人には、公式料金で入力$0.10・出力$0.50/MTok(4.5は$1・$5)
Claude Haiku 5.5 の料金プランを確認する(公式)もっと詳しく
Haiku 5.5 で使える場所: 公式発表では、Claude のプラットフォーム、AWS、Google Cloud、Microsoft Azure で使えるとされています。モデルページには Claude API / Amazon Bedrock / Google Cloud / Microsoft Foundry / Claude Platform on AWS が挙がっています。Google Cloud では claude-haiku-5-5 です。
新しいツール対応: Haiku 5.5 はブラウザ使用ツール browser_toolset_20260801 に対応します(Claude API・Google Cloud)。Haiku 4.5 は非対応です。
ツール使用時のシステムプロンプト: 公式の料金ページでは、Haiku 5.5 は286 / 406トークン、Haiku 4.5 は496 / 588トークンです。ツールを多用する処理では、わずかに有利です。
Batch API: 50%割引で、Haiku 5.5 のみ beta ヘッダー output-300k-2026-03-24 を使うと最大300Kの出力に対応します。急ぎでない大量処理は、Batch API と組み合わせると単価をさらに下げられます。
公式が挙げる注意点: low や思考オフでは、ユーザー向けの返答に推論めいたテキストが混ざることがあります。medium と adaptive thinking の組み合わせで解消すると記載されています。思考オフで JSON を出力させる場合、必要なツール呼び出しを飛ばすことがあります。low や medium では、コード変更を検証しないまま完了と報告することがあります。
速度についての注記: 発表ページの脚注には、標準速度では最速で、Fast Mode では Opus モデルより遅い旨があります。セキュリティ面は Haiku 4.5 より制限的で、Sonnet 5.5 より緩いと書かれています。
よくある疑問
Claude Code で使えますか? effort の公式ページに「Claude API と Claude Code での既定は medium」との記載はあります。ただ、Claude Code での選び方や利用条件は、公式の Claude Code ドキュメントで確認してください。
Sonnet 5.5 との作業別の使い分けは? 難度による使い分けの公式な記述は多くありません。上のベンチマークの差と価格・速度が、判断材料です。
コストを抑えたい人の次の一歩は? 利用額の管理はClaude Code の従量課金と予算アラートの記事も参考にしてください。

