Google公式が2026年9月23日、Gemini app(スマホ・ウェブ版のGeminiアシスタント)の「アプリ連携」に新しく14個のサービスを追加すると発表した。その中にLinear・PandaDoc・Webflow・Wispr Flowが含まれ、チャットで頼むだけで課題管理・契約書作成・サイト更新・会議メモの確認までこなせるようになる。

ただし条件がある。公式の対応状況一覧を確認すると、この4サービスはいずれも米国在住・英語UI・個人のGoogleアカウント(18歳以上)のみが対象で、Google Workspaceアカウントでは使えない。日本語UIでGemini appを使っている場合、現時点ではこの4つは表示されない。

対象になるのは、米国で英語UIのGemini appを使い、Linear・PandaDoc・Webflow・Wispr Flowのいずれかを日常的に使っている個人ユーザーだ。日本語ユーザーが今日できることは、対応拡大の条件を把握しておくことと、日本語UIでもすでに使えるGmail・カレンダーなどのアプリ連携を試しておくことになる。

そもそも「アプリ連携」とは — 3種類とふたつの呼び出し方

Gemini appの「アプリ連携」(以前は「拡張機能」と呼ばれていた機能)は、Geminiに他の仕事道具を直接操作させる仕組みだ。公式ヘルプによると、つながる相手は3種類に分かれる。

Googleのアプリ・サードパーティのアプリ・カスタムアプリの3分類を比較する図
アプリ連携は3種類。今回のLinear等4サービスは「サードパーティのアプリ」に当たる
  • Googleのアプリ: Gmail・カレンダー・Chat・ドキュメントなど。設定画面でオン/オフを切り替えるだけで使える
  • サードパーティのアプリ: Canva・GitHub・Airtable・Linearなど外部サービス。個別に接続を許可する
  • カスタムアプリ: 自分で用意したサーバーのURLをGeminiにリンクする、開発者向けの機能

呼び出し方は2通りで、①設定画面のトグルを直接オンにする、②チャット欄で「@アプリ名」と入力する、のいずれかだ。管理画面はひとつにまとまっていて、つないだアプリはすべてここから見直せる。

今回追加されたLinear・PandaDoc・Webflow・Wispr Flowは、この3種類のうち「サードパーティのアプリ」にあたる。利用者が自分でサーバーを用意する「カスタムアプリ」とは別物で、Google側があらかじめ用意した接続をオンにするだけで使える。

今回追加されたのは14サービス、Linear・PandaDoc・Webflow・Wispr Flowで何ができるか

公式ブログによると、2026年9月23日に追加されたのは生産性ツール6つ(Airtable・Linear・monday.com・PandaDoc・Wispr AI・Zoho)、クリエイティブ系4つ(Adobe・Picsart・Squarespace・Webflow)、ライフスタイル系4つ(apartments.com・Experian・Peloton・SeatGeek)の合計14サービス。このうちLinear・PandaDoc・Webflow・Wispr Flow(開発元の社名はWispr AI)の4つが、日々の仕事道具として使う機会が多いところだろう。

Linear・PandaDoc・Webflow・Wispr Flowでできることを比較する図
4サービスとも、個別に開いて操作する代わりにGeminiに話しかけるだけで作業が進む

これまでは、会議の決定事項を確認する・課題を登録する・契約書を作る・サイトを更新するといった作業は、それぞれのアプリを個別に開いて手を動かす必要があった。今回の追加後は、Gemini appのチャットに話しかけるだけでその作業を進められる。公式が示している実際の話しかけ方は次のとおりだ。

サービスできること話しかけ方の例(公式・英語UI)
Linear課題・プロジェクトの作成/管理/追跡「自分にアサインされた優先度高の課題を全部見せて」
PandaDoc契約書のドラフト作成・カスタマイズ・送信「Acme Corp向けに5万ドルのサービス契約書を作って」
Webflowレイアウト作成・スタイリング・CMS更新「サイトにFAQセクションを追加して公開して」
Wispr Flow会議の決定事項確認・音声メモの記録「直近のWisprとの会議で決まったことを確認して」

いずれも公式が公開している例文の日本語訳で、実際の入力は英語UIが前提になる。

これは何の一部か — 9月23日の発表とXでの告知の関係

@GeminiAppの公式X(旧Twitter)アカウントも、この4サービスを含む追加を紹介するスレッドを投稿している。ただし投稿日時は2026年9月24日で、内容は9月23日の公式ブログと同じ発表を告知したものだった(スレッド内のリンクを開くと、実際に9月23日のブログ記事に着地する)。「本日ロールアウト」という表現はブログの発表日である9月23日を指しており、この記事を書いている9月27日の時点では発表からすでに3〜4日が経過している。

9月23日のブログ発表と9月24日のX告知の関係と件数表記の違いを示す図
Xの告知は前日9/23のブログ発表と同じ内容。件数表記だけブログとXで1件ずれている

なお件数の表記にはズレがある。公式ブログは3分類の合計で「14サービス」としているのに対し、X投稿本文は「13 new apps」と書いている。どちらが正確かGoogleからの説明はなく、本記事ではサービス名を個別に数えられるブログの「14」を基準にした。

2026年8月12日にも別の発表でGranola・Otter.ai・Wixなど13サービスが追加されており、今回の9月23日分とは重複のない別のロールアウトだ。

使うための条件 — 現時点で日本語UIは対象外

公式の「アプリ連携の対応状況と要件」一覧ページで、Linear・PandaDoc・Webflow・Wispr Flowの行をそれぞれ確認すると、条件は次のようになっている。

Linear等4サービスのアカウント・地域・言語・Workspace対応条件の対応表
4サービスとも言語要件は英語のみ。日本語UIでは表示されない
サービスアカウント年齢地域言語Workspace
Linear個人のみ18歳以上米国のみ英語のみ不可
PandaDoc個人のみ18歳以上米国のみ英語のみ不可
Webflow個人のみ18歳以上米国のみ英語のみ不可
Wispr Flow個人のみ18歳以上Gemini・Wisprの両方が対応する地域英語のみ不可

Linear・PandaDoc・Webflowは地域が米国限定、Wispr Flowだけは対応地域がやや広い。ただし4サービスとも言語要件は「英語のみ」で共通している。日本語UIでGemini appを使っている場合、この時点で条件を満たさないため、設定画面を開いても表示されない。

これは公式ブログには書かれていない情報で、専用の対応状況ページを個別に確認して初めてわかる内容だった。「日本での提供可否は未確認」ではなく、「現行の条件では対象外」というのが実際のところだ。

モバイルでの接続手順自体は公式ヘルプに記載がある。①Geminiモバイルアプリを開く ②プロフィール写真をタップし[アプリ連携]を選ぶ(表示されない場合は[パーソナルインテリジェンス]の中) ③接続したいアプリのトグルをオンにする ④画面の指示に従う、という流れだ。加えて、Android・iOS・ウェブ版のいずれでも「アクティビティの保存」がオフになっていると、この機能自体が使えない点も共通の前提になる。

個人アカウントとGoogle Workspaceアカウントの違い

会社のGoogle Workspaceアカウント(会社や学校が契約する法人向けGoogleアカウント)を使っている場合はどうか。Workspace向けの公式ヘルプには、Workspaceアカウントで接続できるアプリ連携が固定リストとして載っている。中身はGmail・Googleカレンダー・Google Chat・Googleドキュメント・Googleドライブ・Google Keep・Google ToDoリスト・Google Classroom・GitHubの9つで、Linear・PandaDoc・Webflow・Wispr Flowは含まれていない。

個人アカウントとGoogle Workspaceアカウントで使える連携先の違いを示す図
会社のWorkspaceアカウントでは、Linear等4サービスは対象リストに入っていない

つまり「管理者が許可すれば使えるようになる」ものではなく、現在の仕様では管理者の許可対象にすら入っていない。会社のアカウントでこの4つを試したい場合、現時点では個人のGoogleアカウントに切り替えるほかに方法がない。

表示されない・使えないときに確認すること

設定画面を開いてもLinear・PandaDoc・Webflow・Wispr Flowが見当たらない場合、まず疑うべきは次の2点だ。

アプリ連携が表示されないときに確認する4つのポイントを示す手順図
表示されないときは言語・アカウント種別・地域・アクティビティの保存の4点を確認する
  1. Gemini appの表示言語が英語になっているか — 4サービスとも言語要件は英語のみのため、日本語UIのままでは表示されない
  2. 利用しているのが個人のGoogleアカウントか — 会社・学校のWorkspaceアカウントでは対象リストに入っていない

Linear・PandaDoc・Webflowはさらに地域も米国に限定されているため、日本在住のまま英語UIに切り替えても表示されない可能性が高い。アカウントの切り替えミスやキャッシュといった一般的な原因より、今回の4サービスに固有の地域・言語の制約が大きいと考えられる。

「アプリ連携」という名前の変遷

この機能は以前「拡張機能(Extensions)」と呼ばれていた。海外メディアの報道によると2025年3月ごろに名称が「アプリ(Apps)」へ変更され、現在は公式ヘルプ上で「アプリ連携(Connected Apps)」という表記に統一されている。ヘルプセンターのURLの一部に今もfaq_extensionsという旧称の名残が残っているが、これは表示上の名称とは関係ない。「Gemini 拡張機能」で検索してこのページにたどり着いた場合も、指しているのは同じ機能だ。

Gemini機能名が拡張機能からアプリ連携へ変遷した流れを示す図
同じ機能が「拡張機能」→「アプリ」→「アプリ連携」と名前を変えてきた

向いている人・様子見でよい人

向いているのは、英語UIのGemini appを使い、なおかつLinear・PandaDoc・Webflowのいずれかを米国から利用している人、またはWispr Flowを対応地域から利用している個人アカウントの人だ。複数のアプリを行き来する手間を減らせる。

アプリ連携が向いている人と様子見でよい人の条件を比較する図
英語UI+対象地域なら今すぐ使え、日本語UIやWorkspaceなら様子見でよい

日本語UIで使っている、あるいはGoogle Workspaceアカウントで使っている場合、今回追加された4サービスの対象には現時点で入らない。対応地域・言語の拡大は公式のアナウンス待ちで、時期は示されていない。

日本語UIでも、Gmailやカレンダーなど Google純正アプリとの連携はすでに使える。今日試すなら、設定画面の[アプリ連携]でGmailのトグルをONにし、チャット欄で「今週届いたメールのうち、まだ返信していないものを教えて」のように話しかけてみよう。今回の4サービスと同じ「チャットで頼むだけ」という仕組みを、日本語UIでもすでに使えることは公式ヘルプで確認済みだ。

もっと詳しく

2026年8月12日の前回追加との違い: 8月12日にも別の発表でGranola・Otter.ai・Wix・Fever・GetYourGuide・Localiza・OpenTable(英国)・Ticketmaster・iHeartRadio・Pandora・Angi・Thumbtack・Zocdocの13サービスが追加されている。飲食予約・チケット系が中心だった前回に対し、今回はAirtable・monday.com・Zohoなど業務系のSaaSが目立つ構成に変わった。サービスの重複はない。

前回のロールアウトやWispr AI/Wispr Flowの違いなど補足事実を示す図
前回の追加、社名と製品名の違い、カスタムアプリとの区別を補足する

Wispr FlowとWispr AIの違い: 公式の対応状況一覧では会社名の「Wispr AI」表記が使われているが、製品名は「Wispr Flow」で、公式X上でも「@WisprFlow」としてメンションされている。案内する際は「Wispr Flow(開発元Wispr AI)」と書くのが実体に近い。

カスタムアプリ(自分のサーバーをつなぐ機能)との違い: Geminiには、自分で用意したサーバーのURLを直接つなげる「カスタムアプリ」という開発者向けの機能も別に存在する。この機能も要件は「米国・英語・個人アカウント・18歳以上」とLinearなどと同じ枠組みだが、今回の4サービスはGoogle側があらかじめ用意した接続で、利用者が自分でサーバーを用意する必要はない。両者は申し込み方も別物なので、あわせて覚える必要はない。

Gemini appの他の機能については、NotebookLMの無料版の上限やGoogle AI Studioの使い方もあわせて確認しておくと、Google純正のAIツール全体の使い分けが見えてくる。